
インターネット、スマホ、アプリが充実した現代社会はたくさんの情報であふれています。
そのため現代のビジネス社会では情報が画一的だったこれまでと比べ、企画立案やプロジェクト推進において本質的な課題発見やアイデア創出が難しくなってきています。
仕事を進める上で、漠然とした問題に出会った時、
「何から手をつければ良いのか」
「チーム内でどう認識を共有すれば良いのか」
と悩んだ経験はありませんか?
こうした漠然とした問題から本質的な課題を見つけ出し、有効なアイデアを生み出すのは難しい。この記事をご覧いただいているあなたも、そんな悩みに直面しているのかもしれません。
この記事で紹介する「KJ法」は断片的な情報からヒントを得て、本質的な課題解決へと導くフレームワークです。
またKJ法は論理も直感も重視します。そのため問題が漠然としていてロジカルに考えるのが難しい状況でも、帰納的に全体像を構築できます。
それにより困難に思えた問題でも、多角的な視点から解決策を導き出せます。
また参加者全員の個々の意見を「見える化」することにより、全員に納得感のある共通認識の形成が可能です。そのため、具体的なアクションにすぐに繋げられます。
まさしくDX推進や新規事業創出において不可欠なアプローチと言えるでしょう。

では「KJ法」とは具体的にどのような概念なのでしょうか。
KJ法は、川喜田二郎氏によって考案された体系的な手法です。単なる情報整理に留まらず、断片的な「データ」を深い洞察や具体的な解決策としての「知恵」へと昇華させるためのプロセスとして紹介されています。
簡単にプロセスをまとめると、
まず個々のアイデアや事実をカードに書き出し、その後グループ化することで隠れた関連性や構造を見える化します。ロジカルなものだけにとどまらず直感的なものもすべて書き出します。
次に、グループ間の関係性を図で表現し、文章化します。
こうして帰納的に参加者全員で認識を合わせながら状況を明確化していくことで、漠然としていた課題が明確になり、多角的な視点から解決策を導き出せます。
このように、KJ法は
混沌とした情報を整理
参加者全員が納得感のある共通認識を形成
具体的なアクションへと繋げる
ための体系化された手段といえます。
ここまで簡単にKJ法の概要について解説してきました。
KJ法はとても有効な手段ですが、もちろんデメリットも存在します。
次はそんなKJ法のメリットとデメリットについて解説します。

ここまで解説したとおりKJ法は有効かつ誰でも活用できる手段です。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、メリットだけでなく潜在的なデメリットも理解する必要があります。
KJ法を導入することで、単なる情報整理に留まらない成果が得られるでしょう。ですが、導入と運用をするにあたりいくつかの注意点も存在します。
ここではKJ法の注意点を確認し、その効果を最大限に活かす方法をお伝えします。
問題の本質を発見しやすくなる:
表面的な事実だけではなく、ロジカル・非ロジカルに関わらず一歩踏み込んで情報を書き出すことで問題の本質が見えてきます。出てきた情報を仕分けし構造化することで、根本的な解決策の検討が可能になります。
混沌としたアイデアを体系化できる:
ブレインストーミングなどで出された散漫なアイデアを体系的に整理し、意味のあるまとまりへと明確化させます。それにより個々のアイデアの潜在的な価値を引き出し、新たな発想を得ることができます。
チーム内の共通認識を形成しやすくなる:
参加者全員でカードを分類・グループ化するプロセスを共有することで、チーム内で同じ認識を持つことができます。これにより、プロジェクトの方向性がブレにくくなり、全員が同じ方向を向いて推進していくことが可能です。
参加者の創造性を刺激する:
全員でカードを動かし、グループ化し、体系化するため、参加者の創造性や意欲を刺激します。これにより、画期的なアイデアが生まれる可能性が高くなります。
意思決定を迅速化できる:
問題の本質が明確になり、アイデアが体系化され、チーム内の共通認識が形成されることで、スピード感のある意思決定ができます。昨今の変化の激しい情報潮流や市場の変化へも対応が可能になります。
時間と労力がかかる:
KJ法はカード作成からグループ化、図解化、文章化まで段階的に進めていく必要があります。そのため、実施するためには相応の時間と労力が必要です。特に、参加者全員が納得するまで議論を深めた方が効果的なため、想定以上の時間がかかることもあります。
参加者の影響を受けやすい:
参加者個々のアイデアや意見が基盤となるため、参加者の属性や意欲に大きく影響を受けやすい側面があります。多様な意見を引き出すためには相応の工夫が求められます。
ファシリテーションスキルが求められる:
KJ法成功のためには高度なファシリテーションスキルが必要です。中立的な立場で議論を進行し、合意形成へと導く力が求められます。
用途を誤ると効果が薄い:
KJ法は有効なツールですが、万能なツールではありません。効果を発揮するのは複雑で漠然とした問題や、新たなアイデアを創出したい場合です。それ以外の用途で実施しても、有効な手段とならない可能性があります。

ここまでKJ法の概要、メリット・デメリットを解説してきました。
次はKJ法を実践する上で特に重要となる、効果を最大化するための具体的な実施方法を解説します。
KJ法の最初のステップは、「事実」や「情報」を一枚一枚の付箋に書き出すことです。頭の中にある漠然とした思考や、見聞きした具体的な情報を「可視化」していきます。
付箋記入のルールとポイント
1枚の付箋に1つのアイデアを書く(情報・事実):
複数情報を詰め込まず、細分化して分けて記載します。
簡潔かつ具体的に記述する:
曖昧な表現を避け、誰が見ても理解できるシンプルな言葉を選びましょう。
「観察」や「体験」から得られた情報を重視する:
インターネット上の情報だけでなく、実際に「見た」「聞いた」「感じた」といった一次情報、つまり「生きた情報」を書きましょう。これこそがKJ法の本来の力を引き出す鍵となります。顧客の声や現場の状況など、リアリティのある情報を意識して積極的に書き出すのが大切です。
このステップで、いかにたくさんの「生きた情報」を書き出せるかが、その後のKJ法の成否を左右します。
そのため出した意見を批判して自由にアイデアを書きづらい空気にしないよう、細心の注意を払いましょう。
付箋にすべての「事実」や「情報」を書き出したら、次のステップはこれらの付箋を分類し、グループをつくります。これは多種多様な情報の羅列から意味のある構造を見つけ出す、KJ法の核心とも言えるフェーズです。
書き出した付箋をランダムに配置し、直感に従って同じ分類と感じる情報を近い位置に移動させます。最初から明確なグループ名や分類を意識せず、純粋に関連性や共通点を見つけることに集中しましょう。もちろん、この関連性や共通点がロジカルに導き出されたものでも問題ありません。
有効なグループ化を実施するコツは
無理にまとめない:
どのグループにも属さないと感じる付箋は、あえてグループ化しないのも大切なグループ化の観点です。無理にグループ化しようとすると、本質を見誤る原因になります。
柔軟な再配置:
一度グループを作っても何か違うなと感じたら、今までのグルーピングにこだわらず再度グループ編成をし直ししましょう。試行錯誤を繰り返すことでKJ法の精度はより向上します。
共通項の発見:
グループ化が終わったら、個々のグループ全体に共通するテーマや概念がないか考えます。必ず、グループ化が終わった後に考えるようにしましょう。
まとまりが見えてきたら、それぞれのグループに「見出し」をつけます。
この見出しは、そのグループに含まれるすべての情報や事実を端的に表す言葉にしてください。あえて抽象度の高い言葉を選び、そのグループが示唆する「意味」や「本質」を捉える意識をしましょう。
付箋をグループ化し、それぞれに見出しを付けたら、いよいよ「図解化」のステップです。KJ法の真価を発揮する醍醐味のフェーズと言えます。
ここでは単に情報を整理するだけでなく、グループ間の見えない関連性や因果関係を可視化すること。そして全体像から問題の本質や解決策を導き出すことを目的としています。
原因と結果
前提と課題
目的と手段
といった関係性を見つけ、線や矢印、囲みなどの図形を用いて視覚的に表していきます。重要なのは見栄えのする図を作ることではなく、複雑な情報の交差を視覚化してまとめることです。
その結果、今まで見えていなかった全体構造や問題の根源、解決の糸口を見つけられます。
図解テクニックのコツ
空間配置:
関連の深いグループは近くに配置し、独立したものは離すなど、物理的な位置関係で視覚化します。
線や矢印:
グループ間の繋がりや方向性を示します。原因から結果への流れは矢印で、相互に関連するものは両方向の矢印で表現するとわかりやすい図になります。
囲み:
いくつかのグループをさらに大きな概念としてまとめる場合、線で囲むことで包含関係など上位の概念がパッと見てわかりやすい図ができます。
色分け:
特定のテーマや重要度に応じて色分けすることで、視覚的な理解を高められます。
パワーポイントで資料をつくるときに意識していることと同じなので、慣れている方もいるかもしれません。
このようなちょっとしたテクニックを駆使することで、複雑な情報のかたまりが「関係性をパッと見て理解できる図解」として視覚化されます。
図解によって全体の構造や本質が見えてきたら、それを言語化していきましょう。
単に図を説明するのではなく、図が示唆する「本質」を深掘りし、明確な文章に落とし込むことが重要です。この時「A(事実)をX(視点)から見るとY(本質)である」という形式を意識することが重要です。
A(事実):
図解で明らかになった具体的なグループやその中の情報。
X(視点):
その事実をどのような角度から見ているのか、または何がその事実を引き起こしているのかという解釈や分析。
Y(本質):
AをXの視点から見たときに導き出される、問題の核となる部分や、そこから見えてくる示唆。
この形式で文章化することで、あいまいだった課題の明確な言語化ができます。ここで最終的に出てきた言語化した文章が問題の本質です。このように言語化された本質こそが、効果的な解決策や革新的なアイデアを提案するための重要な要素となります。
この文章化の過程で、図解だけでは表現しきれなかったニュアンスや、より深層にある意味合いが明確になるでしょう。そしてこれらの言語化された「本質」こそが、企画の骨子、プロジェクトの方向性、あるいは経営戦略の根幹をなすキーポイントです。

KJ法は様々な要素を組み合わせることでその効果を最大限に引き出せます。
KJ法を成功に導くには、ファシリテーターの存在が不可欠です。
中立的な立場で議論を進行し、参加者全員が意見を出しやすい雰囲気を作り、意見の対立を調整し、最終的な合意形成へと導く能力が求められます。
FAKEでもKJ法を使って新規事業案件などのロジックや方向性を導き出すことも多く、その際のファシリテーターの多くはFAKEデザイナーです。
特徴であるビジネス観点を持ちPMの立ち回りが可能なリーダーを中心に、チームが構成されているため、クライアント・ステークホルダーとKJ法を合同で実施する際もスピーディーに課題解決ができています。
KJ法を成功させてければ、PM要素を持ったファシリテーション力を身につけると良いでしょう。
オンライン会議が当たり前になった今、KJ法もデジタルツールと融合することでより簡単に実施できます。MiroやMuralといったオンラインホワイトボードツールを活用すれば、場所を選ばずにKJ法を実践できチーム間の連携を強化できます。
FAKEでもホワイトボードやデスク上ではなく、FigmaやFigjamといったツールを使用して行うことが多いです。
FigmaやFigjamはデザインツールとそれに互換性のあるアイディアボードです。
他のデザインツールとはことなり、リアルタイムでオンライン上で同期しながらセッションが可能なため、クライアントをFigmaへ招待しその場で10人以上でブレストを実施することもあります。
会社により使いやすいツールには差があるため、自社に取り入れやすいツールを探して採用するようにしましょう。
KJ法は単体でも強力ですが、SWOT分析などの他の分析手法と組み合わせることで、より多角的な視点から課題を深掘りできます。
KJ法で得られた本質を他の分析手法を元にして、具体的な事業計画や企画書へとスムーズに落とし込むことが可能になるためです。
KJ法は、複雑で不確実性の高い現代ビジネスにおいて、多岐にわたるシーンでその真価を発揮します。私たちFAKEが携わった過去の経験も踏まえ、具体的な活用シーンをご紹介します。
新規事業開発や商品企画は、まさに不確実性の塊です。KJ法は、市場ニーズの深掘りや潜在顧客の発見、アイデア創出、そして競合との差別化に役立ちます。
「想定している需要は本当にあるのか。」
「インパクトのある事業や商品になっているか。」
「競合他社がいる中で生存戦略、発展的な展望が見えるのか」
このような大きな意思決定に活用し、結果多くの課題解決ができました。
また、デザイン研修のプロジェクトではマネジメントチームと研修参加メンバーとのコンセプト共有や認識合わせにも貢献し、UX内製化を目的とした事業の成功確率を高める結果となっています。
このように、新規事業や商品企画において活用することで目指す目標を達成できるでしょう。
既存の業務プロセスに潜む課題を特定し、改善していく上でもKJ法は有効です。問題の原因分析と構造化をすることで効率的な業務フロー設計に活用できます。
さらに、関係部署間で共通認識を取ることで連携強化や合意形成を促すことが可能です。それにより、業務改善や課題解決後も円滑に導入を進めていけるでしょう。
顧客インサイトの把握は、顧客体験(CX)向上やマーケティング戦略立案の根幹です。
KJ法を活用し、顧客の生の声からカスタマージャーニーマップを作成できます。それにより本質的なプロモーション戦略の立案やターゲット設定、さらには一貫性のあるブランドイメージ構築が可能です。
FAKEではデザインドリブン®︎の手法の中で早期にユーザーヒアリングを実施し、その結果とKJ法を合わせて活用しています。実際のプロジェクトでも効果的なCXの向上とKPI達成で、クライアントから評価していただきました。
顧客体験(CXの向上)やマーケティング戦略において、KJ法は有効な手段といえます。

現代社会において、情報過多や複雑な問題に直面する中で、本質的な課題発見やアイデア創出はより難しくなっています。そんな時代に役立つKJ法について解説しました。
KJ法は、断片的な情報からヒントを得て、漠然とした問題から本質的な課題を見つけ出し、多角的な視点から解決策を導き出せます。
個々のアイデアや事実を「見える化」
でたアイディアをグループ化
グループ化後に関連性を考え図解化
図解化したものから文章化
するプロセスを通じて、論理と直感の両面から全体像を構築します。これにより参加者全員が納得感のある共通認識を形成し、具体的なアクションへとスムーズに繋げられます。
「時間をしっかりとる」「偏りのない参加者の選定」「中立的なファシリテーション」「有効な案件かの確認」をすれば、具体的な課題解決への道が開けるでしょう。
ぜひあなたのビジネスにもKJ法を取り入れ、漠然とした課題を明確にし、革新的なアイデアを生み出すきっかけにしてください。
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〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン