
私たちは日々、多くの企業様のシステム開発をご支援していますが、最近特に増えているご相談が「多額の費用を投じてシステムを作ったのに、現場で全く使われない」「操作性が悪すぎて、かえって業務効率が落ちている」という切実な悩みです。
「機能さえ揃っていれば、デザインは後回しでいい」
「BtoBの業務システムに、おしゃれな見た目は必要ない」
もしあなたがそう考えているなら、それは非常に危険なサインかもしれません。
現代のシステム開発において、デザインは単なる「装飾」ではなく、
プロジェクトの成否を分ける「戦略的投資」だからです。
この記事では、システム開発におけるデザインの真の役割と、なぜ上流工程からデザイナーが関わるべきなのかを、具体的な解決策とともに詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたのプロジェクトが抱える「見えないリスク」を排除し、投資対効果を最大化するための道筋が見えているはずです。
かつてのシステム開発において、デザインは「開発の最後に行う色付け」程度の認識でした。しかし、その結果生まれたのは、説明書を読み込まなければ1つの操作も完了できないような、複雑怪奇なシステムです。

多くの現場で、以下のような「あるある」が発生しています。
マニュアル地獄
操作が直感的でないため、膨大なページ数のマニュアルを作成し、全社員に研修を行わなければならない。
シャドーITの横行
会社が導入したシステムが使いにくいため、社員が勝手に使い慣れた個人用ツールやExcelを使い続け、セキュリティリスクが高まる。
深刻な入力ミス
どこに何を入れればいいか分かりにくいUIのせいで、人為的ミスが多発し、その修正にさらに時間が溶ける。
隠れた人件費の増大
1つの処理に1分余計にかかるシステムを1,000人が毎日使えば、年間で膨大な人件費が「使いにくいUI」によって捨てられていることになります。
いまや、プライベートで使いやすいスマートフォンアプリに慣れ親しんだ社員にとって、旧態依然とした業務システムの「使いにくさ」は、それだけでモチベーションを低下させる要因になります。DXの本質は、テクノロジーを使ってビジネスを変革することですが、そのインターフェースが機能不全であれば、変革は起こり得ません。
「デザイン」という言葉を「UX」と読み替えてみてください。システム開発におけるデザインの位置づけは、今や「上流工程」そのものへと進化しています。
従来のウォーターフォール型開発では、「要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→デザイン」という流れが一般的でした。しかし、これでは開発の最終段階で「そもそもこの画面フローでは業務が進まない」という致命的なミスに気づいても、もはや後戻りはできません。
弊社が推奨し、実践しているのは「デザイン駆動型の要件定義」です。テキストベースの仕様書だけで議論を進めるのではなく、プロジェクトの初期段階でデザイナーが「体験設計」を行います。
具体的には、以下のような「Discovery」プロセスを重視しています。
ステークホルダー・インタビュー
経営層が狙うビジネスゴールと、現場が抱える不満のギャップを抽出します。
現場観察
実際にユーザーがどのように今のシステムを使っているかを観察し、本人も気づいていない「負の工程」を見つけ出します。
「業務システムは仕事で使うものだから、多少使いづらくても我慢すべき」という考えは、もはや過去のものです。
1回の操作で3秒短縮
全社員が1日10回行う操作を3秒短縮できれば、年間で数千時間のコスト削減になります。
定着率の向上
ツールが使いやすければ、導入初期の抵抗感が減り、スムーズに全社展開が可能になります。
デザインを要件に組み込むことは、「システムが提供する価値を、最短経路でユーザーに届けるための設計」なのです。

システム開発の現場では、UIデザインとUXデザインが混同されがちです。しかし、これらを整理して理解することで、プロジェクトの精度は飛躍的に高まります。
UXデザイナーの役割は、ユーザーの行動を分析し、「どのような体験を提供すれば課題が解決するか」を設計することです。
UX設計において特に「情報設計」を重視しています。
情報の階層化
ユーザーが今、何を見るべきか、次に何をすべきかを迷わせない情報の優先順位付け。
ナビゲーション設計
迷子にならないための地図作り。
例えば、経費精算システムを作る場合、UXデザインの範囲は「外出先からスマートフォンで写真を撮るだけで、自動的に金額が読み取られ、承認ルートが設定される」という「体験のシナリオ」を作ることです。
UIデザイナーは、UXデザインで決定したシナリオを、具体的な画面として形にします。
ボタンの配置、色、サイズ
押し間違いを防ぎ、視線をスムーズに誘導する。
タイポグラフィ
疲れにくく、読み取りミスを防ぐフォント選定と行間。
マイクロインタラクション
「保存されました」という確かな手応えを視覚的に伝える。
デザイナーが要件定義に参加する最大のメリットは、「認識のズレ」をゼロに近づけることです。
「見やすい一覧画面」という要件があったとしても、エンジニアが想像する「見やすさ」と、営業担当者が求める「見やすさ」は異なります。デザイナーがその場でワイヤーフレームを描くことで、「そうそう、これが必要だったんだ!」という共通認識がその場で生まれます。この「可視化された合意形成」こそが、開発後半の「こんなはずじゃなかった」という手戻りを防ぐ最強の防御策となります。
では、具体的にどのようにデザインを開発プロセスに組み込めばよいのでしょうか。
初期段階で、Figmaなどのツールを用いて「動くモックアップ」を作ります。これを実際のユーザーに触ってもらい、以下のポイントを確認します。
「このボタンを押したとき、次に何をすればいいか分かりますか?」
「この情報の並び順で、判断に迷いはありませんか?」
開発に着手してから仕様を変更すると、コストは10倍、100倍と膨れ上がります。デザインの段階で修正を繰り返すことが、結果として最も安上がりで高品質なシステムを作る近道なのです。
デザインが完了してから開発に「丸投げ」するのではなく、デザイナーとエンジニアが密に連携します。
実装難易度の確認
「このUIは素晴らしいが、実装コストが非常に高い」といったエンジニアの意見を早期に取り入れ、コストパフォーマンスの高い代替案を検討します。
エンジニアリングへの配慮
データの構造とUIが乖離していないかを確認し、無理のないシステム構成を支援します。
中長期的な運用を見据え、私たちは「デザインシステム」の構築を推奨しています。これは、ボタン、アイコン、入力フォームなどのデザイン要素と、それらをどう使うかというルールをドキュメント化したものです。
開発スピードの向上
エンジニアは既存の「部品」を組み合わせるだけで良いため、UIの実装工数を大幅に削減できます。
品質の安定
誰が作っても同じルールで作られるため、画面ごとにボタンの色が違ったり、使い勝手が変わったりすることを防げます。
技術負債の解消
将来的なリニューアルや機能追加の際も、ルールが明確であれば最小限のコストで対応可能です。

もし、デザインを軽視して開発を進めた場合、どのような事態が待ち受けているでしょうか。
①UI改善が「後手」に回り、改修コストが爆発する
要件定義と開発を優先し、UIは最後に適当に整える方針をとりました。しかし、テスト段階でユーザーから「使いにくくて業務にならない」と猛反発を受けました。結果として、DBの構造から作り直す必要が生じ、追加で数千万円のコストと半年以上の遅延が発生してしまったのです。
「多機能であればあるほど良い」という思い込みは、UIを複雑にする最大の要因です。機能が多すぎてどこに何があるか分からないシステムは、ユーザーに心理的負担を与えます。結局、ユーザーは使い慣れた古い手法に戻ってしまい、システム投資そのものが無駄になってしまいます。
デザインルールがないシステムは、追加開発を繰り返すたびに「継ぎ接ぎだらけ」になります。開発担当者が変わるたびにUIのルールが変わり、最終的には誰も全体像を把握できない「スパゲッティ・デザイン」に陥ります。これは将来的なリニューアルの際、巨大な技術負債として重くのしかかります。
これまで述べてきた通り、システム開発におけるデザインの成功は、「いかに早く、深くデザイナーをプロセスに巻き込むか」にかかっています。
弊社がプロジェクトに参画する際は、必ず「なぜこのシステムが必要なのか」というビジネスゴールの議論から加わります。デザイナーは単に画面を作る人ではありません。「ユーザーの痛み」を言語化し、それを「機能」に翻訳するブリッジです。
現代のビジネスシステムにおいて、多様なユーザーがストレスなく使えることは必須条件です。
視力の弱い方でも読みやすいコントラスト比
マウスだけでなくキーボードだけでも操作可能な設計
色覚の多様性に配慮した色使い
これらは「配慮」ではなく、「システムの堅牢性」を高めるための重要な要素です。FAKE株式会社では、標準的なアクセシビリティガイドラインを遵守した設計を行うことで、誰一人取り残さないビジネス環境の構築を支援しています。
もしあなたが開発を外注する場合、開発会社とデザイン会社を別々に発注する際は注意が必要です。両者の連携が取れていないと、デザインの意図が実装に反映されなかったり、実装不可能なデザインが上がってきたりします。

「デザインに投資して、本当に元が取れるのか?」という疑問は、経営層であれば当然抱くものです。私たちは以下の指標で、デザインの効果を可視化しています。
タスク完了時間
特定の業務にかかる時間がどれだけ短縮されたか。
エラー発生率
入力ミスや手戻りが発生する頻度がどれだけ低下したか。
サポートコスト
システム導入後のヘルプデスクへの問い合わせ件数がどれだけ減少したか。
トレーニングコスト
新人がシステムを使いこなせるようになるまでの研修時間がどれだけ削減されたか。
これらを数値化すると、デザインへの投資は、開発後の運用フェーズにおいて数倍、数十倍の利益となって返ってくることが分かります。
システム開発におけるデザインとは、単なる見た目の調整ではありません。それは、「ビジネスの課題を解き、ユーザーが迷わず目的を達成し、継続的に価値を提供し続けるための仕組み」を設計することです。
要件定義の段階からデザインの視点を取り入れることで、
手戻りリスクを最小化し、コストを最適化できる
現場の生産性を劇的に向上させることができる
迷いのない操作感により、システムの定着率を最大化できる
将来的な保守コストを削減し、技術負債を防げる
システム開発は、作って終わりではありません。
使われて、初めて価値が生まれます。その「使われる」という最も重要な部分を担保するのが、デザインの役割なのです。
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会社概要
社名
株式会社FAKE
住所
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン