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戦略と現場を一体化するサービスデザイン─定義・原則・プロセスと国内外10事例

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作成日 :

2024/6/25 23:57

更新日 :

2025/11/12 11:28

体験価値で競争が決まる時代に、UIの改善だけでは企業は前に進めません。
アプリ、店舗、カスタマーサポートなど接点が複雑化する中、「顧客の体験」と「それを支える仕組み」をひとつの設計図で扱うのがサービスデザインです。

近年は民間企業だけでなく、行政や金融などでも導入が進み、DX・新規事業開発・ブランド再構築のキーワードとして注目を集めています。

目次

サービスデザインとは何か

サービスデザインとは、モノ(製品)とコト(体験・接点・仕組み)を統合的に設計し、顧客と組織の両方に持続的な価値を生み出す考え方です。

  • 対象は「認知→利用→サポート→再利用」までのすべての体験

  • フロント(顧客接点)だけでなく、バック(業務・体制・システム)まで含む

  • 一度きりの改善ではなく、継続的な価値提供を目的とする

経済産業省の定義でも「顧客体験のみならず、それを継続実現する組織と仕組みのデザイン」とされ、単なるUX改善ではなく「企業の構造を変えるアプローチ」と位置づけられています。

なぜ今、注目されているのか

市場が成熟し、機能や価格での差別化が難しくなった現在、「選ばれる理由」は体験の一貫性と共感性に移っています。

しかし多くの企業では、

  • 部門ごとにKPIが分断

  • 顧客データがバラバラ

  • サービス改善が単発で終わる
    といった課題を抱えています。

結果として、顧客はチャネルを変えるたびに異なる体験を強いられ、「ブランドの一貫性」が失われてしまう。
そこで有効なのが、経営と現場を同じ視点で結ぶ設計思想=サービスデザインです。戦略・体験・運用をループでつなぐことで、組織全体を「学習する仕組み」に変えます。

UX・CX・サービスデザインの違い

混同されがちな3つの概念を整理しておきましょう。

概念

対象範囲

特徴

UX(ユーザー体験)

プロダクト単体

「使いやすさ」「感情」など接点レベルの体験

CX(顧客体験)

ブランド全体

商品・広告・サポートを含む企業との関係全体

サービスデザイン

組織全体+顧客体験

体験を生む“仕組み”まで設計する経営的アプローチ

つまり、UXが「触れる瞬間」、CXが「感じる印象」だとすれば、サービスデザインは「それを生み出す構造」までを設計対象とします。

サービスデザインの6原則

経済産業省が掲げる6つの原則を、実務で使える形に翻訳すると次の通りです。

  1. 人間中心:顧客だけでなく、従業員や協力企業も含めて体験を設計する

  2. 共働的:多様な立場のメンバーが協力し、共通言語をつくる

  3. 反復的:小さく作って、早く検証し、すぐに改善する

  4. 連続的:顧客行動を“点”でなく“線”として捉える

  5. リアルである:机上の空論ではなく、現場で観察・試行を繰り返す

  6. 全体的(ホリスティック):体験・業務・仕組みを同時に見る

つまり、現場と経営が同じ視点で「顧客中心」を実現するための6つの約束
この原則がブレると、どんな優れたUXも長続きしません。

プロセス:学習が残る設計サイクル

サービスデザインのプロセスは、一般的に以下の流れを繰り返します。

  1. リサーチ
     顧客の行動・感情・ニーズを観察し、データと組み合わせて分析。

  2. アイディエーション(発想)
     課題をもとにアイデアを抽出し、仮説とKPIをセットで定義。

  3. プロトタイピング
     ペーパーモックやデジタルモックを使って、実際に試す。

  4. 実装・運用
     検証結果を踏まえて本格実装し、ログやCSデータを収集。

  5. 改善・再設計
     学びをナレッジ化し、組織に残す。

このサイクルを短期間で回すほど、サービスの質とスピードは上がります。重要なのは「仮説と検証のログを残す」こと。成功・失敗を共有し、チームで学びを再利用できる状態にすることが、サービスデザインの本質です。

実践で使える代表的な手法

  • KA法:顧客の“心の声”と“行動”を整理し、価値マップを作る

  • ペルソナ設計:代表的な顧客像を設定し、感情と行動を具体化する

  • カスタマージャーニーマップ:行動・感情・課題を時系列で整理

  • サービスブループリント:顧客接点と業務プロセスを一枚の図で可視化

  • ユーザーテスト/UT:実際の利用シーンを観察し、改善点を抽出する

特にブループリントは、体験と業務をつなぐ「共通の地図」として機能します。
デザイナー・エンジニア・営業・経営が同じ図を見て会話できるようになると、意思決定のスピードが劇的に上がります。

国内外10の実践事例から見る「成功の型」

サービスデザインは、業界・規模を問わず導入が進んでいます。
ここでは国内外10の事例を簡潔に紹介し、それぞれの“成果のポイント”を見ていきましょう。

1. Starbucks(アメリカ)

アプリと店舗体験を統合し、モバイルオーダー・リワード・接客を一貫化。デジタルとリアルをつなぐ設計で顧客ロイヤルティを高めました。

複数サービスでバラついていたUXを再構築し、「共通デザインガイドライン」と「行動データの横断活用基盤」を整備。全社レベルでCXを統一しました。

3. IKEA(スウェーデン)

家具の販売から再利用・リペアまでを一体化した循環型サービスを導入。持続可能な体験を軸にブランド価値を再定義しました。

4. ANA(日本)

予約から旅後のコミュニティまでを一貫して設計。顧客データを活用し、“旅の前後も含めた体験”を提供する仕組みを作りました。

5. Monzo(イギリス)

金融アプリのUXを徹底的に人間中心に設計。ユーザーとの対話を重視したデザインで、銀行体験をフレンドリーに刷新しました。

6. Caterpillar(アメリカ)

IoTデータを活かし、稼働後のサポートや保守を最適化。“売って終わり”をやめ、利用中の体験価値を高める仕組みを実現しました。

7. Chow Sang Sang(香港)

AIによるCRMで顧客の嗜好や記念日を管理。パーソナライズされた提案で、CVRと顧客ロイヤルティを大幅に向上させました。

8. シンガポール労働省(MOM)

雇用パス管理システムを全面刷新し、行政・企業・利用者すべてにとって使いやすいUXへ。公共領域でのデジタルデザイン成功例です。

9. ジャックス(日本)

複数ステークホルダーの要件を整理し、ジャーニーとブループリントで全体像を可視化。合意形成を前倒しにして開発を効率化しました。

10. 東武カードビジネス(日本)

Web入会フォームの離脱要因を改善し、文言やUIを最適化。制約の多い金融サービスでもUXで成果を出した好例です。

どの事例も、UI改善だけでなく裏側の仕組みまで含めて再設計している点が共通しています。「小さく試し、効果を測り、学びを残す」──このループを文化として根づかせることが、サービスデザインの成功を支える最大の鍵です。

継続する仕組みをつくる3つのポイント

  1. KPIを“線”で持つ
     発見→体験→利用→継続の流れで効果を追う。

  2. 意思決定ログを残す
     「なぜ変えたか」「何をやめたか」を記録して再発明を防ぐ。

  3. デザインシステムに計測項目を組み込む
     UI、状態、文言、イベントを同一管理し、改善を高速化する。

まとめ:サービスデザインは「経営の翻訳装置」

サービスデザインは単なる手法ではなく、戦略を現場に翻訳し、現場の知見を戦略に戻すループです。

  • 点ではなく線で成果を測る

  • 感覚ではなくデータと共創で意思決定する

  • 改善を“文化”として定着させる

この3つを実装した企業ほど、変化に強く、顧客との関係を長期的に育てることができます。

つまり、サービスデザインとは「未来の経営基盤を設計する行為」。
表面のデザインではなく、仕組みのデザインこそが企業の競争力になるのです。

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会社概要

社名

株式会社FAKE

住所

〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1

代表取締役

高橋 才将

設立

2020年1月

事業

DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン