
「UXデザインって、結局何をするの?」
「プロジェクトでUXを取り入れたいけど、何から始めればいいかわからない」
DX推進や顧客体験価値(CX)の向上が叫ばれてる現代、このようなお悩みを抱えている担当者の方は多いのではないでしょうか。
特に、UXデザインという言葉はよく聞くものの、その具体的な手法やプロセスがわからず途方に暮れている方もいるかもしれません。
やみくもに作業を進めるだけでは、UXデザインの成功は難しいでしょう。UXデザインを成功に導くには 体系化された思考の枠組み、つまりUXフレームワークを活用することが重要です。
フレームワークを用いることで、プロジェクトの全体像を明確にし、チームメンバー間の共通理解を深め、より効率的かつ効果的にユーザーの課題解決に取り組めます。
この記事では、UXデザインにおける代表的なフレームワークを、プロセスの段階別に16個ご紹介します。
それぞれのフレームワークがどのような目的で使われ、どのようなメリットがあるのかを具体的に解説するので、ぜひ実際のUXデザインへご活用ください。
UXデザインとは、ユーザーが製品やサービスを通じて得られる体験全体を設計する活動を指します。そしてUXフレームワークとは、このUXデザインのプロセスを効率的、かつ抜け漏れなく進めるための思考や作業の体系化された枠組みです。
フレームワークを一言で説明するなら「共通のルールや手順を定めた設計図」です。
建築現場で職人たちが迷うことなく作業を進められるのは設計図のおかげです。このようにUXデザインにおいてもフレームワークはプロジェクトの指針となります。
UXデザインはユーザーのニーズを深く理解し、その課題を解決するためのアイデアを出し、具体的な形にして検証するという一連の複雑な思考プロセスを必要とします。このプロセスを体系化し、誰でも再現性をもって進められるようにしたものがUXフレームワークなのです。
フレームワークは、UXデザインの現場で複数の重要な役割を果たします。
プロジェクトに関わる全員が同じフレームワークに沿って作業することで、「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」といった専門用語が共通の認識として機能します。これにより、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、認識のズレを防ぎます。またデザイナーだけでなく、エンジニア、マーケター、企画担当者など、異なる職種のメンバー間での円滑なコミュニケーションが可能になるでしょう。
「なぜこのデザインにしたのか?」「どの機能を優先すべきか?」といった意思決定の場面で、フレームワークに基づいた客観的なデータや視点を用いることで、属人的な判断を避け、説得力のある結論を導き出せます。さらにデータや根拠に基づいた議論は、チーム全体の納得感を高め、プロジェクトの推進力を向上させます。
UXデザインのプロセスは多岐にわたります。フレームワークは、各段階で何を行うべきかを明確に示してくれるため、重要なステップを見落とすリスクを軽減し、プロジェクト全体を計画的に進めることが可能になります。特に、ユーザーリサーチやテストといった見落とされがちなステップを確実に実行するためのガイドラインとなります。

具体的なフレームワークを見ていく前に、まずはUXデザインの根幹をなす3つの重要な考え方を押さえておきましょう。これらを理解することで、各フレームワークがどのような目的で使われるのかがより深く理解できます。
UXデザインは、単に見た目を良くすることではありません。ユーザーがサービスを「どのように使うか」から「なぜ使うか」まで、複数の階層で考える必要があります。UXの5段階モデルは、その階層を5つに分類したフレームワークです。
「なぜこのプロダクトを作るのか?」を考える最も根幹の部分です。ビジネス目標とユーザーのニーズをすり合わせ、プロジェクトの方向性を定めます。
例えば、「ECサイトの売上を20%向上させる」というビジネス目標と、「ユーザーが欲しい商品を簡単に見つけたい」というユーザーニーズを両立させたい時、実現可能な方向性を検討するフェーズがここにあたります。
戦略層で定めた方向性に基づき、プロダクトに必要な機能要件(何ができるか)やコンテンツ要件(何を掲載するか)を定義します。
例えば、「商品検索機能」「レビュー機能」「送料無料の条件を明記したガイドページ」など各ページの役割と目的を明確にする。などより戦略で決めた内容をより具体的にしていきます。
要件層で定めた要素をどのように整理するかを考えます。ウェブサイトの情報構造(ページの構成)や、ユーザーが操作したときのシステムの応答(インタラクション設計)を設計します。
ユーザーが迷わずに目的のページにたどり着けるような情報アーキテクチャ(IA)の設計がここに含まれます。
構造層で設計した情報をもとに、具体的な画面のレイアウトやナビゲーション(ボタンの配置など)を設計します。いわゆる「ワイヤーフレーム」がこの段階にあたります。
どの情報をどこに配置すればユーザーにとって分かりやすいかを検討します。
視覚的なデザインです。色やフォント、画像などを使い、プロダクトのブランドイメージを表現し、ユーザーが快適に操作できるような最終的なUI(ユーザーインターフェース)を完成させます。
このモデルは、下層(戦略層)が上層の土台となっているため、下層から順に固めていくことで、一貫性のあるUXデザインが可能になります。
また、表層はユーザーが最初に目にする部分であり、プロダクトの印象を左右する重要性も秘めています。
UXの5段階モデルは、下層(戦略層)が上層の土台となっているため、下層から順に固めていくことで、一貫性のあるUXデザインが可能になるでしょう。
人間中心設計(HCD:Human-Centered Design)とは、ユーザーをあらゆる活動の中心に据えるデザインプロセスです。国際規格ISO 9241-210でも定義されており、以下の6つの原則に基づいています。
・ユーザー、タスク、環境の理解に基づく設計
・ユーザーの関与を継続的に行う
・ユーザー中心の評価を重視する
・プロセスは反復的である
・ユーザーの全体的な体験を考慮する
・多様なスキル・視点を持つチームで設計する
HCDは、製品やサービスを開発する上で「ユーザーの声を聞く」「試作品を実際に使ってもらう」といった活動を継続的に行い、ユーザーの視点から問題を解決していく姿勢そのものを指します。
この考え方は現在のUXデザインの核となっており、後述する多くのフレームワークの基盤となっています。
デザイン思考(Design Thinking)は、デザイナーが問題解決に用いる思考プロセスをビジネスに応用した考え方です。以下の5つのステップを繰り返し行うことで、革新的なアイデアを生み出します。
・Empathize(共感):
ユーザーの視点に立ち、ニーズや課題を深く理解する。「彼らは何を考え、感じているのか?」を探求します。
・Define(定義):
共感を通じて得られた情報から、解決すべき本質的な課題を明確にする。「彼らの抱える本当の問題は何か?」を問い直します。
・Ideate(発想):
定義された課題に対して、既成概念にとらわれない多様なアイデアを出す。「この問題をどうすれば解決できるだろうか?」を自由に考えます。
・Prototype(プロトタイプ):
アイデアを具体的な形にし、検証可能な試作品を作る。「このアイデアはどのような形になるのか?」を具現化します。
・Test(テスト):
プロトタイプをユーザーに試してもらい、フィードバックを得て改善する。「この解決策は本当に機能するのか?」を検証します。
これらのステップは直線的に進むのではなく、必要に応じて前後のステップを行き来しながらより良い解決策を探求していきます。
前述のデザイン思考のプロセスに沿って、各段階で活用できる具体的なフレームワークを16個ご紹介します。

まず最初にUXデザインの初期段階でよく使われるフレームワークをご紹介します。
この段階ではユーザーの行動、思考、感情、ニーズなどを深く掘り下げ、本質的な課題を発見することが目的とされます。
方法:
ユーザー調査で得られた定量・定性データに基づき、ターゲットとなる代表的なユーザー像を具体的に設定します。氏名、年齢、職業、趣味といった属性だけでなく、目標、課題、行動パターン、利用文脈まで詳細に記述することで、チーム全員が共通のユーザー像をイメージできるようにします。複数のユーザー層が存在する場合は、多くても3体程度に絞り込み、それぞれを丁寧に作り込みます。
メリット:
プロジェクトに関わるメンバーが、常に「このユーザーは本当にこの機能を求めているだろうか?」とユーザー視点に立ち返るための拠り所となります。これにより、メンバー間の認識のズレを防ぎ、一貫した意思決定を促します。
方法:
ユーザーの活動現場を観察する際に、以下の5つの観点からメモを整理します。
Activities(活動): ユーザーは何をしているか?
Environments(環境): ユーザーはどこにいるか?
Interactions(交流): 誰と、何と交流しているか?
Objects(モノ): どんなモノを使っているか?
Users(ユーザー): どんな人が関わっているか?
メリット:
現場での観察から、ユーザー自身も気づいていない暗黙知や行動の理由を抽出するのに役立ちます。写真や行動ログと紐づけて記録することで、その先の仮説を考える際の根拠となります。
方法:
ユーザーが「見て(See)/聞いて(Hear)/考え・感じて(Think & Feel)/言って・行って(Say & Do)」いることを4つの象限に分けて可視化します。さらに、「ペイン(Pain)」と「ゲイン(Gain)」を洗い出し、ユーザーの感情の裏側にある動機や阻害要因を明らかにします。
メリット:
ユーザーの表層的な行動だけでなく、その背景にある思考や感情にまで踏み込むことで、本質的な課題を発見しやすくなります。このマップは後の課題定義につながる重要なインサイト(洞察)を生み出す土台となります。
方法:
ユーザーが製品やサービスを認知してから利用を終えるまでの一連のプロセスを、時系列で図示します。各段階でユーザーがとる行動、思考、感情を整理し、それぞれの接点(タッチポイント)で何が起こっているかを詳細に記述します。
メリット:
ユーザー体験全体を俯瞰し、特に感情が大きく下がる「ペインポイント」や、改善の機会がある「ボトルネック」を特定するのに役立ちます。このマップを作成することで、どこに注力してデザインを改善すべきかをチームで共有できます。

ユーザー理解の段階で収集した膨大な情報を分析し、解決すべき課題を明確に定義する段階です。
方法:
ユーザーの本質的な課題を「誰に(ペルソナ)/どのニーズを/なぜ(インサイト)」という簡潔な文章で定義します。例えば、「[ペルソナ]は、[ニーズ]を必要としている。なぜなら、[インサイト]だからだ」という形式で記述します。
メリット:
このステートメントは、以降のすべての意思決定の評価軸となります。曖昧な表現を排除し、検証可能な具体的な言葉で課題を定義することで、チームの方向性を統一し、発想段階でのブレを防ぎます。
方法:
ユーザーの実際の使用環境で観察と半構造化インタビューを組み合わせ、「なぜその行動をとったのか」を言語化します。行動ログ、発言、環境の3つの要素を整理し、その因果関係を明らかにします。
メリット:
ユーザーが言葉で表現しきれない行動の背景や、無意識の習慣を深く探るために有効です。得られた知見は、POVステートメントに反映され、より精度の高い課題定義につながります。

定義された課題に対し、多様な解決策を生み出す段階です。ここでは、量と質の両方を追求します。
方法:
複数人で自由にアイデアを出し合う手法です。「批判をしない」「質より量を優先する」「他人のアイデアを結合・改善する」「自由な発想を歓迎する」という4つの原則に基づき、制約なくアイデアを発散させます。
メリット:
チーム全員で、多様な視点からアイデアを創出できます。アイデアの評価は後回しにすることで、思考のブロックを外し、革新的な解決策が生まれる可能性を高めます。
方法:
付箋などに書き出したアイデアや観察事実を、親和性の高いもの同士でグルーピングし、グループごとに見出しをつけながら構造化する手法です。
メリット:
ブレインストーミングなどで出た無数のアイデアを整理し、共通の課題領域や解決策のパターンを明確にするのに役立ちます。これにより、発散したアイデアを論理的に収束させ、次のステップへとつなげることができます。
方法:
顧客セグメント、提供価値、チャネル、収益の流れ、コスト構造など、事業全体を9つの要素で一枚の図にまとめるフレームワークです。
メリット:
UXデザインのアイデアが、事業としての実現性や収益性と矛盾していないかを確認するために用います。これにより、ユーザーにとって良い体験であると同時に、ビジネスとしても成立する解決策を考案できます。
方法:
ビジネスモデルキャンバスを、特にスタートアップや新規事業向けに最適化したフレームワークです。課題、解決策、独自価値提案、主要指標などを仮説として記入し、迅速な検証サイクルを回すことを前提としています。
メリット:
アイデアの初期段階で、最もリスクの高い仮説を特定し、検証計画に落とし込むために有効です。未確定な部分は「検証中」と明記し、常に更新していくことで、無駄な開発を避け、迅速な改善を可能にします。
方法:
顧客側の「Jobs(タスク)」「Pains(不満)」「Gains(メリット)」と、自社の製品・サービスが提供する「Pain Relievers(不満の解消)」「Gain Creators(メリットの創出)」を対応付けて可視化するフレームワークです。
メリット:
顧客が本当に求めている価値と、自社が提供する価値が一致しているかを検証します。UXデザインのアイデアが、ユーザーの具体的な「不満」を解消し、「メリット」を提供しているかを明確にし、UI要件に落とし込む際の根拠となります。

アイデアを具体的な形にし、ユーザーテストで検証可能な状態にする段階です。
方法:
製品の試作品を作成する活動全体を指します。Lo-Fiプロトタイプ(紙とペンで描くようなシンプルなもの)で情報設計やユーザーフローを先に固め、その後、Hi-Fiプロトタイプ(実際のUIに近い、インタラクティブなもの)でビジュアルやインタラクションを詰めていきます。
メリット:
開発に入る前に、アイデアが本当にユーザーの課題を解決できるか、使い勝手はどうかを低コストで検証するためです。この段階で検証を挟むことで、開発後の大幅な手戻りを防ぎ、コストと時間を最小限に抑えられます。
方法:
ユーザーが製品やサービスを利用する主要なシナリオを、漫画のようにコマ割りで描写する手法です。各コマで、ユーザーの状況、行動、感情の変化を表現します。
メリット:
画面単位でのデザイン検討に陥りがちな問題を避け、ユーザー体験全体の文脈をチームで共有できます。特に、製品利用の前後の状況を含めて考えることで、より本質的な体験設計が可能になります。
方法:
プロジェクトチームが5日間という短期間で、課題の理解からアイデア発想、プロトタイプ作成、そしてユーザーテストまでを実践する、集中型のワークショップです。
メリット:
新しいアイデアや機能が本当に効果があるのか、最もリスクの高い仮説をたった1週間で検証できることが最大のメリットです。これにより、長い開発期間に入る前に、不確実性を大幅に減らすことができます。

作成したプロトタイプをユーザーに試してもらい、フィードバックを得て改善点を特定する段階です。
方法:
プロトタイプを実際のユーザーに試用してもらい、特定のタスクをどれだけスムーズに達成できるかを観察・記録します。タスクの成功率、所要時間、ユーザーの発言、困った点などをデータとして収集します。
メリット:
ユーザーが実際に製品を使っている様子を観察することで、ユーザーがどこでつまずいているか、どのような問題を抱えているかを客観的に特定できます。このテストで得られた課題は、重要度×頻度で優先順位をつけ、改善策を検討します。
方法:
UXの専門家が、「Nielsenの10原則」という10個のユーザビリティガイドラインに沿って、製品やサービスを評価する手法です。例えば、「システム状態の可視性」「実世界との一致」「ユーザーのコントロールと自由」といった項目に照らし合わせて問題点を洗い出します。
メリット:
ユーザーテストを行う前に、専門家の知見で事前に問題点を洗い出すことで、効率的に改善候補を棚卸しできます。短サイクルでの改善に適しており、次のユーザビリティテストやA/Bテストで検証すべきポイントを絞り込むことができます。
この記事では、UXデザインの基礎的な考え方から、各プロセスで活用できる具体的な16のフレームワークをご紹介しました。
UXデザインは、単なるデザインスキルではなく、ユーザーを深く理解し、その課題を体系的に解決するための思考法です。今回ご紹介したフレームワークは、その思考を整理し、プロジェクトを円滑に進めるための強力な武器となります。
また、これらのフレームワークはどれか1つだけ使えば良いわけではありません。
UXデザインのプロセスに沿って複数のフレームワークを組み合わせることで、より高い効果を発揮します。
例えば、「ペルソナ」でユーザー像を明確にし、「カスタマージャーニーマップ」で彼らの体験全体を可視化。
そこから見つかった課題を「POVステートメント」で定義し、「ブレインストーミング」でアイデアを創出。
最後に「ユーザビリティテスト」で検証する。
といった一連の流れです。
また、プロジェクトの規模やフェーズ、目的によって最適なフレームワークは異なります。プロジェクトの特性を深く理解し、最適なフレームワークを選定・活用することで、ビジネス目標達成が可能になるでしょう。
FAKEでは、これらのフレームワークを駆使し、お客様のビジネス課題をユーザー視点から解決するUXデザインを提供しています。プロジェクトにUXデザインを取り入れたい、あるいはパートナーを探しているご担当者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
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