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システム内製化の進め方とは?外注との線引きと段階的な体制づくり

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  • 業務システム

  • システム開発

作成日 :

2026/10/15 21:30

更新日 :

2026/10/15 20:59

業務システムの改修を頼むたびに見積もりと調整で数か月が過ぎ、気づけば仕様を説明できる人が社内にいない。そんな状態から抜け出す手段として、システム内製化を検討する企業が増えています。

ただし、エンジニアを数名採用すれば解決するほど単純ではありません。どこまでを自社で持ち、どこを外部に任せるかの線引きを誤ると、人材不足のまま品質が落ち、かえって外注依存が強まることもあります。

この記事では、システム内製化の考え方から、外注との線引き、段階的な体制づくりの手順までを、発注者側の実務目線で解説します。

この記事を読むと理解できること

  • システム内製化で自社に取り戻すべきものは何か

  • システム内製化が今あらためて求められている背景

  • 内製化と外注それぞれのメリットとデメリット

  • 自社で持つ領域と外部に任せる領域を線引きする判断軸

  • システム内製化を段階的に進める具体的な手順

  • 外部パートナーと並走しながら知識を社内に移す方法

  • システム内製化が失敗しやすい典型パターンと回避策

システム内製化とは何を自社に取り戻すことなのか

システム内製化とは、これまで外部のベンダーに委ねていたシステムの企画・設計・開発・保守運用の一部または全部を、自社の人材と体制で担えるようにする取り組みです。結論から言えば、取り戻すべき中心はコードを書く作業そのものではなく、何を作るかを決める判断と、業務とシステムの両方を理解した知識です。

システム内製化は全部か無かではない

上位の解説記事でも共通して指摘されているとおり、システム内製化は工程ごとに部分的に進めるのが一般的です。企画と要件定義だけを自社で握り、実装は外部に任せる形も、立派な内製化の一段階といえます。

むしろ、いきなり全工程を自社で抱えようとすると、採用が追いつかずに停滞します。まずは自社が担う工程を一つずつ増やしていく発想が現実的です。

システム内製化のレベルを工程で捉える

システム内製化の度合いは、どの工程を誰が主導しているかで整理すると見通しがよくなります。

レベル

自社が主導する工程

外部が主導する工程

状態の目安

レベル1

発注と検収

企画から運用まで

仕様の意図を外部しか説明できない

レベル2

企画・要件定義

設計・開発・運用

何を作るかは自社で決められる

レベル3

企画・要件定義・UI設計・受け入れテスト

実装の一部・専門領域

改修の優先順位を自社で回せる

レベル4

企画から開発・運用まで

高度な専門領域のみ

外部は必要なときに呼ぶ専門家

多くの企業にとって、まず目指すべきはレベル2から3です。何を作るかを決める力が社内にあれば、外部パートナーを入れ替えても事業は止まりません。

取り戻すべきは意思決定と業務知識

外注に頼り切った状態で失われやすいのは、なぜその仕様になったのかという背景です。担当ベンダーが替わった途端に誰も既存の挙動を説明できなくなる、いわゆるブラックボックス化はここから生まれます。

システム内製化の本当の目的は、この意思決定の履歴と業務知識を社内に残すことにあります。コードを自社で書くかどうかは、その手段の一つにすぎません。

システム内製化が今あらためて求められる理由は何か

システム内製化が注目される背景には、事業の変化の速さと、外注中心の体制が抱える構造的な遅さのギャップがあります。結論として、外注そのものが悪いのではなく、変更のたびに発注と調整が挟まる構造が、事業のスピードに合わなくなってきているのです。

事業の変化に外注のサイクルが追いつかない

外注では、改修のたびに要件の説明、見積もり、稟議、契約という手順を踏みます。数日で試したい改善でも、この手順を通すだけで数週間から数か月かかることは珍しくありません。

業務システムが顧客接点や現場の生産性に直結するようになり、この遅さが機会損失として見えるようになりました。小さな改善を素早く回す力が、競争力そのものになりつつあります。

ブラックボックス化とベンダー依存のリスク

経済産業省が2018年に公表したDXレポートでは、既存システムの複雑化・ブラックボックス化がDXの足かせになるという問題提起がなされました。長年の外注で仕様を把握する人が社外にしかいない状態は、刷新の判断すら難しくします。

特定ベンダーにしか触れないシステムは、費用交渉の余地も狭まります。この構造についてはベンダーロックインの原因と抜け出し方で詳しく整理しています。

開発手段の変化で内製のハードルが下がった

クラウドサービスやローコードツール、AIによる開発支援の普及で、少人数でも扱える範囲は広がっています。以前ならまとまった開発チームが必要だった改修も、業務を理解した少人数で回せる場面が増えました。

ただし、ツールで速く作れることと、正しいものを作れることは別問題です。何を作るべきかを決める力がないままツールだけを入れると、使われない画面が量産される点には注意が必要です。

システム内製化のメリットとデメリットは何か

システム内製化の最大のメリットはスピードと知識の蓄積であり、最大のデメリットは人材の確保と属人化のリスクです。どちらも同じコインの表裏であり、メリットだけを取りにいく設計はできません。

内製化と外注の比較

判断の材料として、内製化と外注の特徴を観点別に並べます。

観点

内製化

外注

改修のスピード

社内で判断が完結し速い

見積もりと契約を挟み遅くなりやすい

仕様変更への柔軟性

優先順位をすぐ入れ替えられる

変更は追加費用と再調整が必要

知識の蓄積

社内に残る

社外に残りやすい

コスト構造

人件費中心で固定費化する

案件ごとの変動費

人材の負担

採用・育成・評価を自社で負う

必要なときに必要な人数を確保できる

専門性の確保

幅広い技術への追随が難しい

専門家の知見を借りやすい

この表から分かるのは、内製化が常に優れているわけではないということです。変更頻度が高く、事業の中核に近い領域ほど内製化の価値が大きくなります。

システム内製化のメリット

一つ目は改修のスピードです。現場の声を聞いた担当者がその場で優先順位を判断できるため、小さな改善を週単位で積み重ねられます。

二つ目は知識の蓄積です。仕様の背景や過去の判断が社内に残り、システムを刷新するときにも自社で要件を描けるようになります。三つ目は、外部パートナーを選び直せる交渉力が持てることです。

コストは総額と時間軸で比べる

内製化のコスト比較では、外注費と人件費を単純に並べるだけでは判断を誤ります。内製では採用費や教育の時間、開発環境の整備、マネジメントの工数も発生するため、初年度は外注より高くつくことが多いからです。

一方で、改修のたびに発生していた説明や見積もりの手間、仕様の誤解による手戻りは減っていきます。複数年の時間軸で、どの費用が減りどの費用が増えるかを整理したうえで判断すると、社内の合意も得やすくなります。

システム内製化のデメリット

最も大きいのは人材の問題です。業務とシステムの両方を理解できる人材は採用市場でも取り合いになっており、育成にも時間がかかります。

もう一つは属人化です。少人数で内製すると、特定の担当者に知識が集中し、その人の異動や退職がそのまま事業リスクになります。内製化したのに再びブラックボックスが生まれる、という本末転倒は珍しくありません。

システム内製化すべき領域と外注すべき領域はどう線引きするか

システム内製化の成否は、線引きでほぼ決まります。結論として、変更頻度が高く事業の差別化に関わる領域は自社で持ち、変更が少なく高い専門性が要る領域は外部に任せるのが基本です。

線引きの判断軸

領域ごとに、次の軸で内製か外注かを判断します。

判断軸

内製に寄せる

外注に寄せる

変更頻度

月単位で改善が発生する

年に数回しか触らない

差別化への寄与

業務のやり方そのものが強み

どの会社でもほぼ同じ業務

業務知識の必要度

現場の暗黙知がないと作れない

一般的な要件で作れる

必要な専門性

社内で育成できる範囲

高度で希少な技術が必要

機密性

社外に出しにくい情報を扱う

外部でも扱える情報が中心

たとえば受注業務の画面や社内承認の流れは、自社の業務に合わせて頻繁に変わるため内製向きです。一方で、会計や給与のように制度で決まる業務はパッケージや外部に任せた方が合理的です。

工程ごとに線を引く

領域だけでなく、工程でも線を引けます。多くの発注者にとって、まず自社で持つべきは企画、要件定義、そして画面やUIの判断です。

業務システムでは、仕様どおりに動いても現場で使われなければ投資は回収できません。FAKEがデザインドリブン®のアプローチで業務システムのUI/UXを重視しているのも、使われるかどうかの判断こそ発注者が手放してはいけない部分だと考えているからです。

線引きは固定せず見直す

線引きは一度決めたら終わりではありません。社内の人材が育てば内製の範囲は広げられますし、逆に技術の変化で外部の専門性が必要になる領域も出てきます。

半期や年度の区切りで、どの領域を誰が持っているかを棚卸しし、計画的に移していく運用が現実的です。

システム内製化はどんな手順で進めればよいか

システム内製化は、目的の明確化から始め、小さな領域で成功体験を作り、外部の力を借りながら段階的に広げるのが基本の進め方です。結論として、最初の一年は人を揃えることよりも、知識が社内に残る仕組みを作ることを優先すべきです。

ステップ1 目的と到達レベルを決める

最初に、なぜシステム内製化をするのかを言語化します。改修のスピードを上げたいのか、ベンダー依存を下げたいのか、刷新に備えて要件を描ける人を育てたいのかで、優先すべき工程が変わります。

あわせて、先ほどのレベル表のどこを何年で目指すかを決めます。到達点が曖昧なままでは、採用や予算の判断ができません。

ステップ2 小さく始める領域を選ぶ

新規の大規模開発から始めるのは避けます。変更頻度が高く、影響範囲が限定された既存システムの改善や保守から着手すると、成果が見えやすく失敗のダメージも小さく済みます。

この段階で、既存システムの構成や仕様を把握し直す作業が必要になります。ドキュメントが残っていない場合は、ここが最初の山場です。

ステップ3 業務と開発が一緒に動く体制を作る

システム内製化のチームは、情報システム部門だけで完結させない方がうまくいきます。業務部門の担当者が要件と優先順位を持ち、開発側と同じ場で判断する体制が理想です。

役割としては、プロダクトの方向性を決める責任者、業務を代表する担当者、設計と実装を担う技術者の三者が揃うことを目指します。最初から全員を社内で揃える必要はなく、足りない役割は外部で補います。

ステップ4 外部パートナーと並走して知識を移す

人材が揃うまでの期間は、外部パートナーと並走する形が現実的です。ここで大切なのは、外部に作業を丸投げするのではなく、社内メンバーが同じチームで判断と作業を経験し、知識を移していく設計にすることです。

近年は、技術者が顧客の現場に入り込み、業務を理解しながら開発と知識移転を担うFDE(Forward Deployed Engineer)という働き方も広がっています。FDEの役割はFDEとは何かを解説した記事で、従来の客先常駐との違いはFDEとSESの違いで整理しています。

並走先を選ぶ段階では、知識移転と出口の設計まで提案できるかを確認してください。比較の観点は業務システム・DXに強いFDE支援会社の選び方が参考になります。

ステップ5 知識が残る仕組みを組み込む

属人化を防ぐため、設計の判断理由、仕様の変更履歴、運用手順を残す仕組みを最初から組み込みます。完璧なドキュメントを目指すより、判断のたびに短く記録する習慣を作る方が続きます。

あわせて、外部への依存度を測る指標を決めておきます。たとえば改修案件のうち社内主導で完了した割合や、仕様を社内で説明できる人の数などを定期的に確認すると、内製化が進んでいるかを判断できます。

システム内製化が失敗しやすいパターン

よくあるのは、人材が足りないまま全面的な内製化を宣言してしまうケースです。既存の保守を回すだけで手一杯になり、改善が止まって現場の不満が高まります。

もう一つは、目的が曖昧なままコスト削減だけを狙うケースです。人件費が固定費化する分、短期的には外注より高くつくこともあり、期待とのずれから取り組みそのものが打ち切られてしまいます。

三つ目は、並走のつもりが丸投げに戻ってしまうケースです。外部パートナーに任せた方が早いという判断を繰り返すうちに、社内メンバーが判断の場から外れ、契約終了とともに知識も消えてしまいます。並走の段階では、社内メンバーが主導する作業を意識的に増やし、外部の関与を計画的に減らしていくことが欠かせません。

まとめ

システム内製化は、外注をやめてすべてを自社で作ることではありません。何を作るかを決める判断と、業務とシステムの両方を理解した知識を社内に取り戻す取り組みです。

進め方の要点は、変更頻度と差別化への寄与で領域を線引きし、企画や要件定義、UIの判断といった上流から自社で握ることです。そのうえで小さな領域から始め、外部パートナーと並走して知識を移し、記録の仕組みで属人化を防ぎます。

到達レベルを決め、半期ごとに線引きを見直していけば、外部の力を上手に使いながら自社が主導権を持つ体制に近づけます。

システム内製化に関するよくある質問

システム内製化にはどれくらいの期間がかかりますか

目指すレベルと出発点によって大きく異なります。企画と要件定義を自社で握る段階までであれば、小さな領域で並走を始めてから段階的に範囲を広げていく形になり、一度に完了するものではありません。到達レベルと見直しの時期をあらかじめ決めておくことが大切です。

中小企業でもシステム内製化は可能ですか

可能です。ただし、全工程を自社で抱えるのではなく、企画と要件定義、受け入れの判断といった上流から持つ形が現実的です。実装や専門性の高い領域は外部に任せ、社内には判断できる人を一人でも育てることから始めると無理がありません。

ローコードツールを導入すればシステム内製化は進みますか

作る速度は上がりますが、それだけでは内製化は進みません。何を作るべきかを決める業務知識と、作ったものを保守していく体制がなければ、使われない画面や管理されないアプリが増えるだけです。ツールの導入は、線引きと体制づくりのあとに検討するのが安全です。

内製化を進めると外部ベンダーとの関係はどう変わりますか

作業を丸ごと任せる相手から、専門性を借りる相手へと役割が変わります。社内で判断できる範囲が広がるほど、発注の内容が具体的になり、見積もりの比較や交渉もしやすくなります。外部との関係を断つのではなく、対等に使い分けられる状態を目指すのが内製化のゴールです。

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2026/10/15 21:30

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会社概要

社名

株式会社FAKE

住所

〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1

代表取締役

高橋 才将

設立

2020年1月

事業

DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン