
基幹システムの刷新や全社向け業務システムの導入が決まり、ベンダーに提案を依頼する段階になったものの、RFPを書ける人が社内にいない。事業部門の要望はばらばらで、情報システム部門は既存システムとの連携や非機能要件の整理で手一杯という状況は、大企業のプロジェクトでよく起こります。
こうしたときに選択肢になるのがRFP作成支援です。外部の専門家と組むことで、要件の抜け漏れや見積の比較不能といった失敗を発注前に減らせます。
この記事では、RFP作成支援の概要から支援範囲、進め方、支援会社の選び方、依頼できる会社までを解説します。
RFP作成支援とは何か、どこまで任せられるのか
RFP作成支援を依頼するメリットと向いているケース
構想整理・要件整理・RFP作成・ベンダー選定支援という支援範囲の違い
RFP作成支援を依頼してからRFP完成、ベンダー選定までの進め方
大企業がRFP作成支援会社を選ぶときの判断軸
RFP作成支援を依頼できる会社8社の特徴
依頼時に押さえるべき注意点と費用の考え方
RFP作成支援とは、システム開発やシステム導入の発注にあたり、ベンダーへ提示する提案依頼書の作成を外部の専門家が支援するサービスです。RFPには、プロジェクトの背景や目的、対象範囲、機能要件と非機能要件、スケジュール、予算、提案の評価基準などを記載します。RFP自体の基本はRFPとは何かを解説した記事で整理しています。
RFP作成支援の提供者は、コンサルティング会社、システム開発会社、Web制作会社など多岐にわたります。単に文書を代筆するだけでなく、ステークホルダーへのヒアリング、課題整理、要件の構造化、評価基準の設計、ベンダー選定の補助までを含むのが一般的です。
RFP作成支援と混同されやすいのが要件定義支援です。RFPは発注前にベンダーへ提案を求めるための文書で、要件定義は発注後にベンダーと詳細を確定する工程として扱われることが多くあります。
ただし実務では、RFPの段階で要件をどこまで具体化しておくかが見積の精度と後工程の手戻りを大きく左右します。そのため、RFP作成支援の中で要件整理を厚めに行う会社や、要件定義工程への伴走まで提供する会社もあります。
大企業のシステム発注では、情報システム部門、事業部門、経営層、購買部門、セキュリティ部門など関係者が多く、要求の取りまとめに時間がかかります。既存の基幹システムとの連携、全社展開の段階移行計画、セキュリティ審査の要件など、RFPに書くべき論点も増えます。
さらに稟議では、なぜそのベンダーを選んだのかを説明できる比較の根拠が求められます。社内だけでこれらを短期間にまとめるのは難しく、RFP作成支援を活用する企業が増えています。

RFP作成支援を依頼する主なメリットは、要件の質、比較の公平性、社内工数の三つに整理できます。ここでは大企業の発注プロセスに引きつけて解説します。
RFPに非機能要件や移行要件、運用保守の範囲が書かれていないと、ベンダーごとに前提が異なる提案が集まります。契約後に追加費用が発生したり、要件定義で揉めたりする原因になります。
経験のある支援者は、どの項目がトラブルになりやすいかを知っています。RFP作成支援を通じて論点を先回りして洗い出すことで、後工程の手戻りを抑えられます。
RFPの記載粒度がそろっていれば、ベンダーは同じ前提で提案と見積を出せます。評価基準を事前に設計しておけば、提案内容を点数化して比較しやすくなります。
比較の根拠が明確になることは、稟議や経営層への説明でも効いてきます。特定ベンダーとの付き合いだけで決めたという疑念を持たれにくくなる点も、RFP作成支援の利点です。
第三者が入ってヒアリングを行うと、部門ごとの要望が同じ土俵で整理されます。社内の担当者だけでは言いにくい優先順位の議論も、外部の支援者が論点として提示することで進みやすくなります。
次のようなケースでは、RFP作成支援を依頼する価値が大きくなります。
基幹システム刷新や全社展開など、関係部門が多く要件が複雑な案件
社内にRFPの作成経験者が少なく、テンプレートだけでは書き切れない案件
スクラッチ開発かパッケージかSaaSかといった方式から検討したい案件
既存ベンダーへの依存を見直し、複数社を公平に比較したい案件
発注後の要件定義で揉めた経験があり、上流で要件を具体化したい案件
逆に、要件がすでに固まっており、社内に発注経験者がいる案件であれば、RFPの書き方やテンプレートを参考に自社で作成する選択も現実的です。

RFP作成支援の範囲は会社によって大きく異なります。依頼前に、どの工程を任せたいのかを明確にしておくことが重要です。ここでは代表的な4つの範囲を紹介します。
プロジェクトの目的、解決したい経営課題、あるべき姿を言語化する工程です。現状業務の課題を洗い出し、As-IsとTo-Beを整理して、システム化の範囲を決めます。
構想整理が曖昧なままRFPを書くと、ベンダーの提案が手段の比較に終始してしまいます。RFP作成支援の中でも、最も成果を左右する工程といえます。
構想をもとに、機能要件と非機能要件を洗い出し、優先順位をつける工程です。性能、可用性、セキュリティ、既存システムとの連携、データ移行、運用保守といった項目を漏れなく扱います。
要件整理の粒度は、見積の精度に直結します。抽象的な要望のままでは、ベンダーはリスクを見込んで見積を厚くせざるを得ません。
整理した内容を、ベンダーが提案しやすい構成の文書にまとめる工程です。提案依頼事項、スケジュール、予算の目安、提出物、評価基準、質問受付の方法などを記載します。具体的な項目はRFPテンプレートを使って項目の抜けを確認するのも有効です。
候補ベンダーのリストアップ、RFPの配布と質疑応答の対応、提案書の評価、プレゼン評価、経営層向けの報告書作成などを支援する工程です。会社によっては契約条件の精査や、選定後の要件定義、PMOまで一貫して支援します。

RFP作成支援の進め方は会社ごとに異なりますが、大企業の案件ではおおむね次の流れになります。
ステップ | 主な内容 | 社内の関与 |
|---|---|---|
1 事前準備 | 目的、対象範囲、進め方の認識合わせ、NDA締結 | プロジェクト責任者、PMO |
2 ヒアリング | 経営層、事業部門、情報システム部門への現状と課題のヒアリング | 各部門のキーパーソン |
3 構想・要件整理 | あるべき姿の立案、機能要件と非機能要件の整理 | 情報システム部門、事業部門 |
4 RFP作成 | ドラフト作成とレビューの反復、評価基準の策定 | 全関係部門 |
5 ベンダー選定 | 配布、質疑応答、提案評価、選定結果の報告 | 購買部門、経営層 |
RFP作成支援を依頼しても、意思決定をするのは発注企業自身です。誰がRFPの最終承認者で、どの部門がレビューに参加するのかを事前に決めておくと、ヒアリングとレビューが円滑に進みます。
RFPは一度で完成するものではありません。ドラフトを関係部門でレビューし、指摘を反映する流れを複数回繰り返すことで、実態に合った内容になります。
文章だけで議論すると、同じ言葉でも部門ごとに想像するものが異なり、認識のずれが残りがちです。画面イメージやプロトタイプを使って確認すると、ずれを早い段階で発見できます。
方式や製品の選択肢が広い場合は、RFPの前にRFIで情報を集める方法もあります。RFIとRFPの使い分けはRFIとRFPの違いの記事で詳しく解説しています。

RFP作成支援会社を選ぶ際は、文書作成の巧拙だけでなく、上流工程の進め方や中立性を見ることが大切です。大企業の案件で特に重視したい判断軸を紹介します。
RFPの品質は、構想と要件をどこまで具体化できたかで決まります。ヒアリングをして文書にまとめるだけでなく、プロトタイプや画面イメージを使って関係者の認識を合わせられる会社であれば、抽象的な議論で時間を浪費せずに済みます。
システムが完成しても現場に使われなければ、投資は回収できません。RFPの段階でUXやUIの要件を定義しておくと、ベンダーの提案を使いやすさの観点でも比較できます。
特定の製品や系列に偏った支援会社だと、方式の比較が十分に行われないおそれがあります。スクラッチ開発、パッケージ、SaaSのどれが適しているかをフラットに検討できるかを確認しましょう。将来のベンダーロックインを避けるうえでも重要な観点です。
構想整理からベンダー選定まで一貫して任せられるのか、RFP作成のみなのかを確認します。成果物の範囲、改訂の回数、社内に求められる関与の度合いが事前に示されているかもチェックしたい点です。
RFPはゴールではなく、ベンダー選定と要件定義の出発点です。選定後の要件定義やPMOまで伴走できる会社であれば、RFPで決めた方針が後工程で崩れにくくなります。
自社の案件にどの範囲の支援が必要か迷う場合は、まずFAKEへのお問い合わせから現状の課題を共有いただくこともできます。

ここからは、公式サイトでRFP作成支援またはその前提となる上流工程の支援を確認できた会社を紹介します。記載内容は各社の公式サイトで確認できた範囲に限っています。
株式会社FAKEは、東京・恵比寿を拠点に、UI/UXデザイン、業務システムの戦略からUI/UXデザイン、システム開発までを提供する会社です。「デザインドリブン®」を掲げ、新規事業支援、FDE支援、AI開発にも取り組んでいます。
FAKEのFDE支援では、大企業DXの上流工程に入り、プロトタイプとヒアリングを反復して抽象的な議論を具体化します。AIでドキュメント作成も並行し、認識合わせと要件定義書の作成を一つのフローで完結させる点が特徴です。
FAKEは、システム開発の失敗原因を「現場に使われないシステム」と「要件定義・合意形成に時間がかかりすぎること」の2つと捉えています。UX起点の業務再設計とプロトタイピングでこの2つを解決するアプローチは、RFP作成支援を検討する企業が悩みやすい要件の曖昧さに直接効きます。
パッケージ前提ではなく、AI駆動によりスクラッチ開発を低コストで実現し、ベンダーロックインを避ける提案ができる点も強みです。システム開発ではビジネス理解のあるPdMを中心にチームを組成し、Figmaで詳細を詰めて実装するため、RFPと要件定義で固めた内容を開発まで一貫して引き継げます。FDEの考え方はFDEとは何かを解説した記事で紹介しています。
株式会社NTTデータビジネスシステムズは、提案依頼書の作成支援コンサルティングを提供しています。支援範囲はRFP策定、ベンダー選定支援、プロジェクトマネジメント支援で、RFP策定のみ、ベンダー選定までの一貫支援、選定後のプロジェクト進行までの一貫支援というパターンが用意されています。
課題抽出からあるべき姿の立案、機能要求と非機能要求の取りまとめ、RFP策定という手順で進めます。独自の評価項目や基準をベースに顧客の経営課題に応じて調整し、同一条件での見積比較で適正価格の見極めを支援する点が特徴です。
参考: 公式サイトのサービスページ
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、顧客に代わって要求仕様と提案依頼書を作成するRFP作成支援を提供しています。社内へのヒアリング、問題点の仮説検証と要件整理、中長期的なビジネスゴールと計測指標の提案、適正な予算規模の算出、ベンダー候補の選定支援が含まれます。
ソニーグループのWebソリューションに20年以上携わった経験があり、フロントエンド、システム開発、インフラに加えてセキュリティや運用面も考慮して提案する点が特徴です。
参考: 公式サイトのサービスページ
株式会社ビープラウドは、価値起点でRFPを構造化するRFP作成支援を提供しています。匠Methodで価値や目的を可視化し、RDRAで要件同士の関係を整理したうえで、構造化した要件から概算見積を算出します。
成果物はRFPドラフト、価値デザインモデル、要求分析ツリー、RDRA要件構造モデル、概算見積資料です。必要に応じてベンダー選定支援や要件定義工程への伴走、受託開発としての実装にも対応しています。
参考: 公式サイトのサービスページ
NCDC株式会社は、RFP作成とベンダー選定の支援を提供しています。経営層や業務担当者へのヒアリングで課題とシステム化の範囲を整理し、機能要件、非機能要件、スクラッチやSaaSといった導入形態を含むRFPを作成します。
特定の製品や系列にとらわれずに方式を検討する点や、RFP段階でUXとUIの要件を定義してベンダーとの認識のずれを防ぐ点が特徴です。公式サイトでは、標準的なRFP作成支援の期間は1.5〜3ヶ月程度が目安とされています。
参考: 公式サイトのサービスページ
株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーは、東京都千代田区に所在し、RFP作成とベンダー選定の支援を提供しています。要求の整理と分析、要求仕様の策定、提案評価基準の策定に加え、製品やベンダーの段階的な絞り込み、提案評価、契約条件の精査まで支援範囲に含みます。
ベンダーとの資本関係や取引関係がなく、中立的な立場で発注者側を支援する点が特徴です。代表は政府CIO補佐官を務めた経歴を持ち、中小企業から大企業、官公庁や自治体の案件まで対応しています。
参考: 公式サイトのサービスページ
株式会社マイクロウェーブは、WebサイトやECサイトの構築、業務システムの開発やリプレイス、CMSやSaaSの導入におけるRFP作成支援コンサルティングを提供しています。現状調査と課題整理、戦略策定、要件整理、ベンダーとシステムの選定という流れで進めます。
RFP作成支援やベンダー選定の専門チームを持ち、部門横断での要件の取りまとめや、見積の妥当性の確認にも対応している点が特徴です。
参考: 公式サイトのサービスページ
株式会社イーツーは、東京都豊島区に所在し、Webサイト構築を中心としたRFP作成支援サービスを提供しています。現行サイトマップの作成、ヒアリング、アクセス解析、スケジュール作成、RFP作成、評価シートの作成、希望に応じたコンペへの同席が含まれます。
公式サイトでは費用が90万円からと示されており、内容や規模によって変動するとされています。
参考: 公式サイトのサービスページ

RFP作成支援は依頼すれば自動的に良いRFPができるサービスではありません。成果を出すために押さえたい注意点を整理します。
RFPに書く要件の最終的な判断は発注企業にしかできません。支援会社にヒアリングを任せきりにせず、プロジェクト責任者がレビューと意思決定に関与し続けることが大切です。
RFP作成支援を提供する会社が開発も手がけている場合、その会社自身が提案に参加するかどうかで中立性の見え方が変わります。選定プロセスへの参加の有無や、評価の公平性をどう担保するかを事前に確認しておきましょう。
RFP作成支援の費用は、対象システムの複雑さ、関係部門の数、成果物の範囲、期間によって大きく変わります。公式サイトで料金を公開している会社は少なく、多くはヒアリング後の個別見積です。
比較する際は、総額だけでなく、どの工程まで含むのか、改訂は何回まで対応するのかをそろえて確認しましょう。上流工程の費用は、後工程の手戻りを減らす投資として捉えるのが現実的です。

RFP作成支援は、構想整理、要件整理、RFP作成、ベンダー選定までを外部の専門家と進めるサービスです。大企業の案件では関係部門が多く、既存システムとの連携やセキュリティ審査、稟議での説明責任など論点が増えるため、RFP作成支援の価値が高まります。
RFP作成支援会社を選ぶ際は、上流工程で要件を具体化できるか、UXを要件に織り込めるか、パッケージやベンダーに対して中立か、発注後の工程まで見据えているかを確認しましょう。
FAKEは、プロトタイプとヒアリングの反復で抽象的な議論を具体化し、認識合わせと要件定義書の作成を一つのフローで進めます。RFPの前提となる要件が固まらずにお困りの場合は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
案件の規模と支援範囲によって異なります。公式サイトで目安を示している例では、NCDC株式会社が標準的なRFP作成支援で1.5〜3ヶ月程度、ベンダー選定支援を含めるとさらに1〜2ヶ月程度としています。全社規模の案件では、ヒアリング対象が増えるぶん長めに見込んでおくと安全です。
会社によります。RFP作成支援のみを提供するケースもあれば、ベンダー選定や選定後のプロジェクト管理まで一貫して提供するケースもあります。RFPで決めた方針を選定で一貫させたい場合は、同じ会社に通しで依頼すると引き継ぎの手間を減らせます。
プロジェクトの目的、対象範囲の仮案、関係部門とキーパーソン、意思決定者と承認プロセスを整理しておくと、ヒアリングが効率的に進みます。既存システムの構成資料や現行業務のフロー図があれば共有しましょう。
問題はありませんが、中立性の担保方法を確認しておくことが重要です。開発会社は実装の知見があるため、実現可能性や見積の妥当性を踏まえた要件整理ができるという利点があります。その会社が提案に参加するかどうか、評価をどう公平に行うかを事前に取り決めておきましょう。
依頼できます。構想整理の段階から支援する会社は多く、むしろ要件が固まっていない段階で相談するほうが、RFP作成支援の効果を得やすくなります。FAKEのようにプロトタイプを使って議論を具体化する方法であれば、関係者が完成イメージを共有しながら要件を固められます。
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社名
株式会社FAKE
住所
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン