
良い製品やサービスを作っても、届けたい相手に価値が伝わらなければ選ばれません。広告、SNS、営業資料、Webサイト、展示会。企業が顧客と接する場面は増える一方で、それぞれがばらばらのメッセージを発信していると、かえって印象はぼやけてしまいます。
この記事では、伝える活動全体に一貫性を持たせるためのコミュニケーション戦略について、意味と重要性、立て方の手順、使えるフレームワーク、BtoBでの考え方、よくある失敗までをご紹介します。
コミュニケーション戦略の意味とマーケティング戦略との関係
コミュニケーション戦略が重要になっている理由
コミュニケーション戦略を構成する主な要素
コミュニケーション戦略の立て方の具体的な手順
コミュニケーション戦略に役立つフレームワーク
コミュニケーション戦略でよくある失敗と対策
コミュニケーション戦略とは、誰に、何を、どのように伝え、どんな認識や行動の変化を生み出すのかを設計する計画のことです。広告やSNS、営業、広報、Webサイトなど、企業が発信するあらゆる接点を、一つの目的に向けて組み立てる考え方を指します。
マーケティング戦略は、どの市場の誰に、どんな価値を、いくらで、どのように届けるのかという全体の方針を決めるものです。コミュニケーション戦略は、その中でも伝える部分を担います。
つまり、マーケティング戦略で決めたターゲットや提供価値を前提に、それをどのような言葉と接点で届けるかを具体化するのがコミュニケーション戦略です。上位の戦略と切り離して考えると、伝える内容がぶれる原因になります。
広告の出稿計画やSNSの運用計画は、特定の手段に焦点を当てた実行計画です。コミュニケーション戦略は、それらの手段を横断して、全体として何を伝え、どんな順序で認識を変えていくのかを決める上位の設計図にあたります。
コミュニケーション戦略がないまま個別の施策を進めると、手段ごとに言っていることが異なり、受け手の中で一貫したイメージが形成されません。
コミュニケーション戦略の重要性は、近年ますます高まっています。背景には、情報環境と購買行動の変化があります。
顧客が企業に触れる接点は、Web検索、SNS、動画、口コミサイト、比較メディア、営業担当者との会話など、多岐にわたります。接点が増えるほど、担当部署や外部パートナーもばらばらになりがちで、メッセージの一貫性を保つのが難しくなります。
受け手は日々膨大な情報に触れています。似たような訴求があふれる中で選ばれるには、誰に何を伝えるのかを絞り込み、印象に残る形で届ける設計が欠かせません。
特にBtoBでは、複数の関係者が長い時間をかけて検討することが一般的です。検討の段階ごとに必要な情報も異なるため、どの段階の誰に、何を伝えるのかを整理しておかなければ、商談の途中で検討が止まってしまうことがあります。
コミュニケーション戦略は、いくつかの要素を組み合わせて設計します。
要素 | 決めること | 問いの例 |
|---|---|---|
目的 | 伝えることで実現したい変化 | 認知を広げたいのか、比較検討で選ばれたいのか |
ターゲット | 伝える相手 | 誰の、どんな状況に向けて伝えるのか |
インサイト | 相手の本音や動機 | 相手が本当に気にしていることは何か |
メッセージ | 伝える内容 | 一言で何を覚えてほしいのか |
チャネル | 伝える接点 | どこで、どのタイミングで届けるのか |
指標 | 成果の測り方 | 何が変われば成功とするのか |
まず、コミュニケーションによって何を実現したいのかを明確にします。認知の拡大、理解の促進、比較検討での選択、利用の継続など、目的によって伝えるべき内容も手段も変わります。
そのうえで、誰に伝えるのかを具体的に定めます。年齢や業種といった属性だけでなく、どんな状況で、どんな課題を抱えている人なのかまで描けると、メッセージが鋭くなります。
インサイトとは、相手自身も言葉にしていないような本音や動機のことです。インサイトを捉えたメッセージは、相手に自分ごととして受け止められやすくなります。インサイトの捉え方は、ユーザーインサイトの記事でも紹介しています。
メッセージは、たくさんのことを伝えようとせず、一言で覚えてもらえる核となる内容を決めることが大切です。そのうえで、接点ごとに表現を調整します。
チャネルは、メッセージを届ける接点です。相手がどこで情報を集め、どのタイミングで意思決定をするのかを踏まえて選びます。
指標は、コミュニケーション戦略が機能しているかを測るための物差しです。目的に合わせて、認知度、理解度、問い合わせ数、商談化率などを設定します。
ここからは、コミュニケーション戦略の立て方を具体的な手順で紹介します。
最初に、事業戦略やマーケティング戦略で決まっている方針を確認します。狙う市場、提供価値、競合との違いといった前提を押さえないまま進めると、コミュニケーション戦略が上位の方針とずれてしまいます。
あわせて、現在の発信内容や顧客からの見られ方、競合の打ち出し方も整理しておきましょう。
コミュニケーション戦略で実現したい変化を、具体的な言葉で定めます。「業界での認知を広げる」ではなく、「導入を検討している担当者に、比較の候補として必ず挙がる状態をつくる」のように、誰がどう変わるのかまで書くと、後の判断がぶれにくくなります。
成功の基準もこの段階で決めておきます。
伝える相手を具体的に描き、その相手が何を求め、何に不安を感じているのかを明らかにします。顧客へのインタビューや営業担当者へのヒアリング、問い合わせ内容の分析などが有効です。
BtoBの場合は、実際の利用者、導入を決める責任者、予算を承認する経営層など、関わる人ごとに関心が異なる点に注意が必要です。
インサイトを踏まえて、相手に最も伝えたい核となるメッセージを決めます。競合と比べたときの違いが伝わるか、相手にとっての価値として表現されているかを確認しましょう。
ブランドとしての話し方や人格を定めておくと、接点ごとの表現に一貫性を持たせやすくなります。ブランドの人格の考え方は、ブランドパーソナリティの記事で詳しく紹介しています。
ターゲットの情報収集の流れに沿って、どのチャネルでどの段階のメッセージを届けるかを設計します。認知の段階では広く届くチャネル、比較検討の段階では詳しい情報を伝えられるチャネルといったように、段階ごとに役割を分けると効果的です。
計画を実行したら、設定した指標で成果を測定します。うまくいかなかった部分は、メッセージ、チャネル、ターゲットのどこに原因があるのかを切り分けて改善します。コミュニケーション戦略は一度作って終わりではなく、市場や顧客の変化に合わせて更新し続けるものです。
コミュニケーション戦略を考える際に役立つ、代表的なフレームワークを紹介します。
3Cは、顧客、競合、自社の三つの視点から状況を整理するフレームワークです。顧客が求めていること、競合が打ち出していること、自社だけが提供できることを並べることで、伝えるべき違いが見えてきます。
整理した結果をもとに、競合と比べて自社がどの位置を取るのかを示すポジショニングを定めると、メッセージの軸がぶれにくくなります。
カスタマージャーニーは、顧客が課題に気づいてから、情報を集め、比較し、導入し、使い続けるまでの流れを描く手法です。段階ごとに顧客の気持ちや接点を整理することで、どこで何を伝えるべきかが明確になります。
AIDMAは、注意、関心、欲求、記憶、行動という購買までの心理の流れを示したモデルです。AISASは、インターネットの普及を踏まえて、検索と共有の段階を加えたモデルです。いずれも、ターゲットがどの段階にいるのかを考え、段階に合わせたメッセージを設計するのに役立ちます。
PESOモデルは、広告などのペイドメディア、報道などのアーンドメディア、SNSでの共有などのシェアードメディア、自社サイトなどのオウンドメディアの四つに接点を分けて考える枠組みです。チャネルの組み合わせを検討する際に、偏りがないかを確認するのに便利です。
BtoBのコミュニケーション戦略には、BtoCとは異なる特徴があります。
BtoBの購買には、現場の担当者、部門の責任者、経営層、情報システム部門など、複数の関係者が関わります。現場は使いやすさを、責任者は業務への効果を、経営層は投資対効果を重視するなど、関心はそれぞれ異なります。コアメッセージは一つに保ちながら、関係者ごとに伝え方を変えることが大切です。
BtoBでは、検討期間が数カ月から一年以上に及ぶこともあります。その間、継続的に役立つ情報を届け、忘れられないようにすることが重要です。オウンドメディアの記事、事例紹介、セミナー、資料ダウンロードなどを組み合わせ、検討の段階に応じた情報を用意しましょう。
マーケティングで伝えている価値と、営業が商談で伝えている価値が異なると、顧客は混乱します。コアメッセージや顧客の課題の捉え方を、営業とマーケティングで共有しておくことが欠かせません。
コミュニケーション戦略を立てても、うまく機能しないケースには共通するパターンがあります。
自社の強みをすべて伝えたいという思いから、メッセージにたくさんの要素を詰め込んでしまう失敗です。受け手は一度に多くのことを覚えられません。最も伝えたい一つに絞り、ほかの要素は接点に応じて補足する形にしましょう。
誰にでも当てはまるように伝えようとすると、誰にも刺さらないメッセージになりがちです。最も重要な相手を明確にし、その人に深く届くことを優先したほうが、結果として広がりも生まれます。
話題の手法やツールから考え始め、何のためにやるのかが曖昧なまま施策を進めてしまう失敗です。手段は目的とターゲットから逆算して選ぶことが大切です。
指標を決めずに施策を続けると、うまくいっているのかどうかが分からず、改善もできません。目的に合った指標を定め、定期的に振り返る仕組みを作りましょう。
伝えている内容と、実際にサービスを使ったときの体験が食い違っていると、顧客の信頼は損なわれます。コミュニケーション戦略は、プロダクトやサービスの体験と一体で考える必要があります。体験設計の考え方は、UXデザインとは何かの解説で紹介しています。
プロダクトの体験と伝え方を一体で見直したい場合は、UIUXに強いコンサル会社9選で外部パートナーの選び方を整理しています。
コミュニケーション戦略とは、誰に、何を、どのように伝え、どんな変化を生み出すのかを設計する計画です。接点が増え、情報があふれ、購買の検討が複雑になる中で、伝える活動全体に一貫性を持たせる重要性はますます高まっています。
立て方の基本は、上位戦略と現状を整理し、目的と成功の基準を決め、ターゲットとインサイトを明らかにし、コアメッセージとチャネルを設計して、実行と改善を繰り返すことです。3Cやカスタマージャーニーなどのフレームワークを活用しながら、伝えたいことを絞り込み、体験との一貫性を保つこと。これが、選ばれる理由を確実に届けるコミュニケーション戦略の要点です。
マーケティング戦略は、どの市場の誰にどんな価値を届けるかという全体の方針を決めるものです。コミュニケーション戦略は、その方針を前提に、価値をどのような言葉と接点で伝えるかを具体化するものです。マーケティング戦略の一部として位置づけられます。
マーケティング部門や広報部門が中心になることが多いですが、営業、商品企画、経営層など、顧客と接する部門や方針を決める人を巻き込んで立てることが大切です。関係者が共通の認識を持つことで、実行段階での一貫性が保たれます。
必要です。むしろ、使える予算や人手が限られている小規模な会社ほど、誰に何を伝えるかを絞り込むことで、限られたリソースを効果的に使えます。大がかりな計画でなくても、目的、ターゲット、コアメッセージ、主なチャネルを一枚にまとめるだけでも効果があります。
目的に合わせて指標を設定します。認知が目的であれば認知度や指名検索の数、比較検討で選ばれることが目的であれば問い合わせ数や商談化率などが指標になります。定量的な指標に加え、顧客へのインタビューで受け止められ方を確認することも有効です。
【2026年最新版】アプリ開発に強いデザイン会社12選
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】マーケティングに強いデザイン会社12選|事業成長を牽引するUXと組織の壁の越え方
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】新規事業開発に強いデザイン会社12選
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】業務システム開発に強いデザイン会社12選
デザイン
To B
企業紹介
【2026年最新版】UXに強いデザイン会社12選 :失敗しないための3つの選定軸と特徴を徹底解説
デザイン
UIUX
企業紹介
【2026年最新版】WEBアプリ・スマホアプリのUIUXに強いデザイン会社おすすめ12選
デザイン
UIUX
ナレッジ
企業紹介
【2026年最新版】UXデザインに強い東京のデザイン会社12選
デザイン
ナレッジ
To B
企業紹介
新規事業支援に強いUXデザインコンサル会社12選
ナレッジ
新規事業
デザイン
企業紹介
【2026年最新版】おすすめのデザイン会社10選 失敗しないデザイン会社選びのポイントを解説
ナレッジ
UIUX
デザイン
企業紹介
【2026年最新版】デザイナーが選ぶデザインシステム導入支援に強い会社12選
デザイン
UIUX
ナレッジ
企業紹介
ブログ
お問い合わせ
お問い合わせ
|
会社概要
社名
株式会社FAKE
住所
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン