
広告費をかけてアクセスは増えたのに、問い合わせや購入がなかなか増えない。サイトやアプリを運営していると、多くの担当者が一度はこの壁にぶつかります。集客を増やす前に見直したいのが、訪問者のうち何割が成果に至っているかを示すCVRです。
この記事では、CVR改善の事例を施策のパターン別に紹介したうえで、CVRが低い原因の見つけ方、改善を進める手順、失敗しないためのポイントをご紹介します。紹介する事例は、特定の企業の数値ではなく、多くのサイトで繰り返し見られる改善の型として整理しています。
CVRの意味とCVR改善が重要な理由
CVRが低くなる主な原因
施策パターン別のCVR改善事例
BtoBサイトとECサイトでのCVR改善事例の違い
CVR改善を進める具体的な手順
CVR改善の事例から学ぶ失敗しないためのポイント
CVRとは、コンバージョン率のことで、サイトやアプリを訪れた人のうち、購入や問い合わせ、資料請求、会員登録といった目標の行動に至った人の割合を示します。訪問数が同じでもCVRが上がれば成果は増えるため、事業の成長に直結する重要な指標です。
集客にかかる費用は年々上がる傾向にあります。訪問数を増やすだけで成果を伸ばそうとすると、費用も比例して増えてしまいます。CVRを改善できれば、同じ集客費用でより多くの成果を得られるため、投資対効果を大きく高められます。
また、CVR改善の過程で、ユーザーがどこでつまずき、何に迷っているのかが明らかになります。これは、サイトの改善だけでなく、商品やサービスそのものを見直すヒントにもなります。
CVRは、何をコンバージョンとするか、どの範囲の訪問を分母にするかによって値が大きく変わります。改善の効果を正しく判断するために、計測の定義をチーム内でそろえておくことが大切です。また、業種や商材によって一般的な水準は大きく異なるため、他社の数値と単純に比べるより、自社の過去の数値と比べて改善を追うほうが実践的です。
CVR改善の事例を見る前に、CVRが低くなる主な原因を押さえておきましょう。原因の見当がつくと、どの事例を参考にすべきかが分かります。
原因 | よくある状態 | 見るべきデータ |
|---|---|---|
集客と内容のずれ | 広告の訴求とページの内容が合っていない | 流入経路ごとの離脱率 |
価値が伝わらない | 何のサービスか一目で分からない | ファーストビューの離脱率、スクロール率 |
不安が解消されない | 料金や実績、導入後のイメージが不明 | 料金ページや事例ページの閲覧状況 |
導線が分かりにくい | 次に何をすればよいか迷う | クリックされている場所、ページ遷移 |
入力の負担が大きい | フォームの項目が多い、エラーが分かりにくい | フォームの項目ごとの離脱 |
広告や検索結果で期待した内容と、実際にたどり着いたページの内容が異なると、訪問者はすぐに離脱してしまいます。流入経路ごとにCVRや離脱率を比べると、このずれに気づきやすくなります。
ページを開いた最初の数秒で、何のサービスで、自分にどんな良いことがあるのかが伝わらないと、多くの訪問者は読み進めません。
料金、導入の手間、実績、サポート体制など、申し込む前に知りたい情報が見つからないと、訪問者は判断を先送りにします。
次に何をすればよいかが分かりにくいページや、入力項目が多すぎるフォームは、せっかく申し込もうとした人を途中で離脱させてしまいます。
ここからは、多くのサイトで効果が確認されている改善の型を、事例として施策パターン別に紹介します。
問い合わせや資料請求のフォームに多くの項目が並んでいるケースでは、項目を必要最小限に絞ることでCVRが改善することがよくあります。たとえば、初回の資料請求では会社名、氏名、メールアドレスだけを必須とし、部署や導入時期などは商談の段階で確認するといった見直しです。
あわせて、入力エラーをその場で分かりやすく表示する、全角半角を自動で変換するといった工夫も、途中での離脱を減らします。
ページの最初に表示される部分に、抽象的なキャッチコピーやイメージ画像だけを置いているケースでは、誰のどんな課題を解決するサービスなのかを一文で言い切る表現に変えることで、読み進める人が増える傾向があります。
主要なボタンをファーストビューの中に配置し、次に取るべき行動を明確に示すことも効果的です。
料金が「お問い合わせください」だけになっているケースでは、目安の料金やプランの違いを示すことで、比較検討中の訪問者の不安が和らぎ、問い合わせの質と量がともに改善することがあります。
導入実績や利用者の声を、課題と成果が分かる形で掲載することも、信頼の獲得につながります。
情報を詰め込みすぎて、どこを押せばよいか分からないページでは、主要な行動を一つに絞り、ほかのリンクを整理することで、目標の行動に進む人が増えることがあります。
ヒートマップなどで実際にクリックされている場所を確認し、押されていないのに目立っている要素や、押したいのにリンクになっていない要素を見直すのが有効です。
いきなり問い合わせや購入を求めるのではなく、資料のダウンロード、無料の診断、少額のお試しなど、ハードルの低い選択肢を用意することで、全体のコンバージョンが増えるケースがあります。検討の段階が早い訪問者にも、接点を持つきっかけを提供できるためです。
画像が重い、読み込みに時間がかかるといったページでは、表示速度の改善だけで離脱が減り、CVRが上がることがあります。特にスマートフォンからの訪問が多いサイトでは、優先して確認したいポイントです。
パソコンでの表示を前提に作られたページでは、スマートフォンで見たときにボタンが押しにくい、文字が小さい、表が横にはみ出すといった問題が起きがちです。スマートフォンからの訪問が多いサイトでは、実際の端末で申し込みまでの流れを試し、つまずく箇所を一つずつ解消することでCVRが改善する事例が多く見られます。
申し込みの直前で生じる小さな疑問が解消されず、離脱につながっているケースでは、よくある質問をページ内に配置したり、チャットで気軽に質問できる窓口を設けたりすることで、CVRが改善することがあります。どんな質問が多いかを営業やサポート部門から集めておくと、効果的な内容を用意できます。
CVR改善の事例は、サイトの種類によって効果的な施策が異なります。
BtoBサイトでは、検討期間が長く、複数の関係者が意思決定に関わります。そのため、一度の訪問で問い合わせに至ることは少なく、資料請求やセミナー申し込みなど、検討の途中段階での接点づくりが重要になります。
よく見られる改善の型としては、課題別の導入事例を充実させる、社内の稟議に使える資料を用意する、料金の目安を示して比較検討を後押しする、といったものがあります。
ECサイトでは、商品ページから購入完了までの流れのつまずきを減らすことが中心になります。商品画像や説明の充実、送料や返品条件の明示、会員登録をしなくても購入できる仕組み、決済方法の充実などが、代表的な改善の型です。
カートに商品を入れたまま離脱した人への案内を工夫することも、ECサイトならではの施策です。
CVR改善の事例を自社に活かすには、手当たり次第に施策を試すのではなく、手順を踏んで進めることが大切です。
何をコンバージョンとし、どの範囲のCVRを改善するのかを決めます。計測が正しく行われているかも、この段階で確認しておきましょう。
アクセス解析を使って、どのページのどの段階で離脱が多いのかを特定します。流入経路やデバイスごとに分けて見ると、問題の場所が絞り込みやすくなります。
データで分かるのは、どこで離脱しているかまでです。なぜ離脱しているのかは、ユーザーへのインタビューや、実際にサイトを操作してもらうユーザーテストで確かめます。数字と声の両方がそろうことで、的外れな施策を避けられます。インタビューの分析を効率化する方法は、ユーザーインタビューのAI分析の解説で紹介しています。
原因の仮説をもとに施策を洗い出し、期待できる効果と実施の手間で優先順位をつけます。優先順位の決め方は、開発の優先順位の決め方で具体的なフレームワークを紹介しています。
施策を実施したら、変更の前後やABテストで効果を検証します。うまくいかなかった施策も、なぜ効果がなかったのかを記録しておくことで、次の改善に活かせます。大きな変更を試す前には、プロトタイプでユーザーの反応を確かめる方法も有効です。進め方は、生成AIプロトタイプの作り方と活用法で紹介しています。
最後に、CVR改善の事例から見えてくる、失敗しないためのポイントをまとめます。
他社で効果があった施策が、自社でも同じように効くとは限りません。ユーザーや商材、サイトの状況が異なるためです。事例は、自社の原因の仮説に合うものを選び、検証しながら取り入れましょう。
ボタンの色や文言の変更で効果が出ることもありますが、改善の幅には限界があります。価値が伝わっていない、そもそもユーザーの課題と提供価値がずれているといった根本的な原因がある場合は、ページ全体やサービスの見せ方から見直す必要があります。
複数の箇所を同時に変更すると、CVRが変化しても、どの変更が効いたのかが分からなくなります。CVR改善の事例として学びを残すためにも、検証したい変更はできるだけ一つずつ試し、効果を切り分けられるようにしましょう。どうしても同時に変える場合は、変更点と期待する効果を事前に記録しておくことが大切です。
CVRを上げることだけを目的にすると、誇張した表現や強引な導線で一時的に数字が上がっても、その後の解約や不満につながることがあります。ユーザーにとって分かりやすく、納得して行動できる体験をつくることが、持続的なCVR改善の近道です。体験設計の考え方は、UXデザインとは何かの解説で紹介しています。
CVR改善は、一度で終わるものではありません。データの確認、仮説の立案、施策の検証を定期的に回す仕組みを作ることで、継続的に成果を積み上げられます。
社内でCVR改善の事例を蓄積しておくことも大切です。どのページで、どんな仮説のもとに、何を変え、結果がどうだったのかを記録しておけば、担当者が変わっても学びが失われません。自社のCVR改善事例こそが、他社の事例よりも役立つ知見になります。ユーザー理解に基づく改善を外部の専門家と進めたい場合は、UIUXに強いコンサル会社9選で選び方を整理しています。
CVR改善は、集客費用を増やさずに成果を伸ばせる、投資対効果の高い取り組みです。CVRが低くなる原因には、集客と内容のずれ、価値が伝わらないこと、不安が解消されないこと、導線や入力の負担の大きさなどがあります。
入力フォームの見直し、ファーストビューの改善、料金や実績の明示、導線の整理、ハードルの低い選択肢の用意、表示速度の改善といった事例は、多くのサイトで効果が見られる改善の型です。ただし、他社の事例をそのまま真似るのではなく、データとユーザーの声で自社の原因を確かめ、優先順位をつけて検証を繰り返すことが大切です。ユーザーが納得して行動できる体験をつくることが、持続的なCVR改善につながります。
一律の正解はありませんが、まずはデータで離脱の多い場所を特定することから始めるのがおすすめです。入力フォームやファーストビューは、多くのサイトで改善の余地が大きい箇所なので、最初の確認対象として適しています。
サイトの訪問数や施策の内容によって異なります。訪問数が少ないサイトでは、効果を判断するのに十分なデータがたまるまで時間がかかります。短期間の数字の変動に一喜一憂せず、一定の期間やデータ量を確保してから判断しましょう。
検討期間が長く、複数の関係者が関わることを前提に、検討の途中段階での接点を用意することが重要です。課題別の導入事例、稟議に使える資料、料金の目安などを整えることで、比較検討を後押しできます。
自社で見つかった原因の仮説に合う事例を選び、検証しながら取り入れるのが効果的です。他社の数値をそのまま目標にするのではなく、施策の考え方や背景を参考にし、自社のユーザーで効果を確かめることが大切です。
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〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
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設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン