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電子帳簿保存法のシステム対応とは?要件の整理から選定・運用まで解説

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作成日 :

2026/10/2 08:24

更新日 :

2026/10/2 02:19

メールで届いた請求書のPDFを印刷して、ファイルに綴じる。この慣れた作業が、今では原則として認められていません。2024年1月から、電子で受け取った取引データは電子のまま保存することが求められています。

とはいえ、何をどこまで整えればよいのか、システムを入れれば済むのかが分からず、対応が後回しになっている会社もあるはずです。要件を正しく押さえれば、必要なシステムの範囲は意外と絞り込めます。

この記事では、電子帳簿保存法のシステム対応について、要件の整理から選定と運用の進め方までを解説します。

この記事を読むと理解できること

  • 電子帳簿保存法の3つの保存区分と、義務になっている範囲

  • 2022年と2024年の改正で何が変わったか

  • システム対応で満たすべき真実性と可視性の要件

  • 検索要件が不要になる条件と、猶予措置の考え方

  • 電子帳簿保存法に対応するシステムの種類と選び方

  • 社内でシステム対応を進める順番と運用のポイント

電子帳簿保存法とはどんな法律で、何を求めているのか?

結論から言うと、電子帳簿保存法とは、税務上保存が必要な帳簿や書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。いくつかの区分は任意ですが、電子取引で受け渡したデータの電子保存は、すべての事業者に求められています。

電子帳簿保存法の3つの保存区分

電子帳簿保存法は、保存の対象と方法によって3つの区分に分かれています。どの区分に当たるかで、求められる対応とシステムが変わります。

区分

対象の例

対応の位置づけ

電子帳簿等保存

会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳、自社で作成した請求書の控え

任意。電子で作成したものを電子のまま保存できる

スキャナ保存

紙で受け取った請求書や領収書

任意。紙をスキャンしてデータで保存できる

電子取引データ保存

メール添付の請求書PDF、Webサイトからダウンロードした領収書、EDIでやりとりしたデータ

義務。電子で受け渡したデータは電子のまま保存する

電子帳簿保存法でまず押さえるべきは、電子取引データ保存が義務であるという点です。電子帳簿等保存とスキャナ保存は、業務効率化のために自社の判断で取り組む領域と考えると整理しやすくなります。

2022年と2024年の改正で変わったこと

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正では、電子帳簿等保存やスキャナ保存を始める際に必要だった税務署長の事前承認制度が廃止されました。一方で、電子取引データを印刷して紙で保存する方法は、原則として認められなくなりました。

この電子取引データの保存義務には宥恕措置が設けられていましたが、その措置は2023年12月31日をもって廃止されています。代わりに2024年1月からは、一定の要件を満たす場合に限って適用できる猶予措置が新たに設けられました。

あわせて、検索要件が不要になる事業者の範囲も広がりました。電子帳簿保存法の対応は、この2024年1月以降のルールを前提に考える必要があります。

電子帳簿保存法のシステム対応では何を満たせばよいのか?

電子帳簿保存法のシステム対応で満たすべき要件は、大きく真実性の確保と可視性の確保の2つです。真実性は「改ざんされていないこと」、可視性は「必要なときにすぐ見られて探せること」を意味します。

真実性の確保は4つの方法から選ぶ

電子帳簿保存法で電子取引データの真実性を確保する方法は、次のいずれかを満たせば足ります。すべてを満たす必要はありません。

  • タイムスタンプが付与されたデータを受け取る

  • 受け取った後、速やかにタイムスタンプを付与する

  • 訂正や削除の履歴が残る、または訂正や削除ができないシステムで保存する

  • 不当な訂正や削除を防止する事務処理規程を定めて守る

システムを使わずに事務処理規程で対応する方法も認められています。ただし規程は作って終わりではなく、実際に運用されている必要があります。件数が多い会社ほど、訂正削除の履歴が残るシステムで仕組みとして担保した方が、運用の負担は軽くなります。

可視性の確保と検索要件

電子帳簿保存法における可視性の確保では、保存したデータを画面に表示し、印刷できる環境を備えることが求められます。自社開発のシステムを使う場合は、システムの概要を記した書類の備付けも必要です。

そのうえで、電子帳簿保存法では保存したデータを検索できることが求められます。検索の条件は、取引年月日、取引金額、取引先の3項目です。日付や金額は範囲を指定して検索でき、2つ以上の項目を組み合わせて検索できる必要があります。

ファイル名に日付や金額、取引先を入れて規則的に保存し、索引簿を作る方法でも検索要件を満たせるとされています。ただし手作業の負担は大きく、件数が増えるほどミスも起きやすくなります。

検索要件が不要になる条件と猶予措置

電子帳簿保存法では、一定の条件を満たすと検索要件が不要になります。2課税年度前の売上高が5,000万円以下の事業者と、電子取引データを印刷して日付と取引先ごとに整理している事業者が対象です。いずれも、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられることが前提になります。

さらに、システムの整備が間に合わないなど、要件どおりに保存できない相当の理由があると所轄税務署長が認める場合は、猶予措置があります。この場合も、データのダウンロードの求めと、印刷した書面の提示や提出の求めに応じられることが条件です。

猶予措置は「電子データを捨ててよい」という意味ではありません。電子取引データそのものは保存しておく必要があります。猶予措置は恒久的な免除ではなく、システム対応までの時間を確保する手段と捉えるのが安全です。

スキャナ保存を選ぶ場合の要件

紙で受け取った書類をスキャンして保存する場合は、電子帳簿保存法の中でも電子取引とは別の要件があります。受領からスキャナで読み取るまでの期限として、最長約2か月とおおむね7営業日以内という入力期間の定めがあります。

2024年1月からは、解像度や階調などの情報の保存や、入力者の情報を確認する要件が廃止され、帳簿との相互関連性の確保も重要書類に限られるなど、要件が緩和されています。スキャナ保存は任意ですが、紙の保管スペースを減らしたい会社には検討の価値があります。

電子帳簿保存法に対応するシステムにはどんな種類があるのか?

電子帳簿保存法に対応するシステムは、会計ソフト型、経費精算型、請求書受領型、文書管理型に大きく分けられます。どれか1つで全てを賄うのではなく、取引の種類ごとにどのシステムで保存するかを決めるのが現実的です。

種類

主に扱う書類

向いているケース

会計ソフト型

帳簿、決算関係書類、証憑の添付

帳簿の電子保存とあわせて証憑も会計側で管理したい

経費精算型

領収書、交通費や立替経費の証憑

社員からの経費申請が多く、領収書の扱いに手間がかかっている

請求書受領型

取引先から届く請求書

受け取る請求書の件数が多く、形式もばらばらである

文書管理型

契約書、見積書、発注書など幅広い書類

取引の種類が多く、書類を横断して一元管理したい

会計ソフト型は、帳簿と証憑を同じ場所で管理できるのが強みです。経費精算型は申請と承認の流れの中で領収書を保存できるため、社員の手間を減らせます。

請求書受領型には、AI-OCRで請求書の内容を読み取り、取引年月日や金額を自動で入力する製品が多くあります。仕組みの詳細はAI-OCRによる請求書処理で解説しています。

文書管理型は、書類の種類を問わず保存と検索の要件を満たせるのが特徴です。申請と承認の流れと組み合わせる場合は、ワークフローシステムとは何かもあわせて確認しておくと、全体の設計がしやすくなります。

電子帳簿保存法対応システムはどう選べばよいのか?

電子帳簿保存法対応システムを選ぶときは、まず自社で保存が必要な書類の範囲を確定させ、その範囲で要件を満たせるかを確認します。そのうえで、既存システムとの連携と、日々の運用を担う人の使いやすさで比較するのが基本です。

対象書類の範囲を先に決める

最初に、自社で電子帳簿保存法上の電子取引に当たるものが何かを洗い出します。メールで受け取る請求書、ネット通販の領収書、クラウドサービスの利用明細、EDIの取引データなど、部署ごとに想定外の電子取引が見つかることがあります。

範囲が決まれば、そのすべてを1つのシステムでカバーするのか、複数のシステムで分担するのかを判断できます。範囲を決めずに製品から選び始めると、対応漏れの書類が残りがちです。

JIIMA認証を目安にする

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が行うJIIMA認証は、ソフトウェアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかを確認する目安になります。電子取引ソフト、スキャナ保存ソフトなど、区分ごとに認証が分かれています。

認証を受けた製品であれば、電子帳簿保存法の機能面の要件確認の手間を減らせます。ただし、認証は製品の機能に関するものです。実際の運用で要件を満たせるかは、自社の使い方次第である点に注意が必要です。

既存システムとの連携を確認する

電子帳簿保存法への対応で新しいシステムを入れると、会計システムや販売管理システムとの間で同じ情報を二重に入力する状態が起きやすくなります。仕訳の自動連携や、取引先マスタの共有ができるかを確認しておきます。

2023年10月に始まったインボイス制度への対応や、今後広がるデジタルインボイスとの関係も見据えておくと、システムを入れ替える回数を減らせます。デジタルインボイスについてはデジタルインボイスとはで整理しています。

運用する人の使いやすさを重視する

電子帳簿保存法の対応で実際に手を動かすのは、経理担当者だけではありません。請求書を受け取る営業担当や、経費を申請する全社員がデータを登録することになります。

登録時に入力項目が多すぎる、どこに保存すればよいか分からないといった画面では、保存漏れが起きます。無料トライアルなどで、経理以外の社員にも操作してもらってから判断すると、導入後のつまずきを減らせます。

電子帳簿保存法へのシステム対応はどの順番で進めるのか?

電子帳簿保存法へのシステム対応は、取引の洗い出し、保存方法の決定、規程と業務フローの整備、システム導入、定期的な点検という順番で進めると、抜け漏れが起きにくくなります。システムの導入は途中の一工程にすぎません。

取引と書類の流れを洗い出す

最初の工程は、どの部署が、どの取引先から、どんな形式で書類を受け取っているかを一覧にすることです。電子で受け取るものと紙で受け取るものを分け、保存先と担当者も書き出します。

この段階で、同じ請求書が営業のメールと経理の共有フォルダの両方に保存されているといった重複も見えてきます。現状の流れが見えなければ、システムに何を任せるべきかも決められません。

保存方法と真実性の手段を決める

電子取引データは電子帳簿保存法の要件に沿って電子で保存し、紙で受け取る書類はスキャナ保存をするか紙のまま保存するかを決めます。真実性の確保を、タイムスタンプで行うか、訂正削除の履歴が残るシステムで行うか、事務処理規程で行うかもここで決めます。

事務処理規程を使う場合は、国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実態に合わせて作成します。誰がどの権限で訂正や削除をできるのかを、システムの権限設定と一致させておくことが重要です。

業務フローと画面を設計する

保存方法が決まったら、書類を受け取ってから保存し、承認を経て会計処理されるまでの業務フローを組み立てます。ここで設計を誤ると、要件を満たすシステムを導入しても、現場で保存されないという事態が起きます。

FAKEでは、デザインドリブン®のアプローチで業務システムのUI/UXを設計し、現場に入り込んで実際の業務を観察するFDE型の支援も行っています。電子帳簿保存法の対応でも、法令要件を満たすことと、現場の人が迷わず保存できることを同時に設計する視点が欠かせません。

既存の業務システムの改修を含めて外部の力を借りたい場合は、業務システムやDXに強い開発会社の選び方も参考になります。

導入後は定期的に点検する

電子帳簿保存法対応のシステムを導入した後も、保存漏れがないか、検索で必要なデータを取り出せるかを定期的に確認します。新しい取引先や新しいクラウドサービスの利用が始まると、電子取引の範囲は少しずつ変わっていくためです。

保存期間にも注意が必要です。法人の場合、帳簿書類は原則として7年間の保存が求められるため、システムの契約終了やデータ移行の際にもデータを引き継げるかを確認しておきます。

まとめ

電子帳簿保存法は、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存の3つの区分からなり、このうち電子取引データ保存がすべての事業者に求められています。2023年12月31日に宥恕措置が廃止され、2024年1月からは新しい猶予措置と、拡大された検索要件の免除の条件のもとで対応することになりました。

システム対応で満たすべき要件は、真実性の確保と可視性の確保の2つです。対応システムには会計ソフト型、経費精算型、請求書受領型、文書管理型があり、自社の取引の種類に応じて組み合わせて選びます。

対応を進める順番は、取引の洗い出し、保存方法の決定、業務フローと画面の設計、導入後の点検です。法令要件と現場の使いやすさを同時に満たすことが、電子帳簿保存法への対応を形だけで終わらせないための鍵になります。

電子帳簿保存法に関するよくある質問

電子帳簿保存法に対応するには必ずシステムを導入する必要がありますか?

必ずしも必要ではありません。事務処理規程で真実性を確保し、ファイル名の付け方と索引簿で検索要件を満たす方法も認められています。ただし、取引件数が多い会社では手作業の負担とミスが増えるため、システムで仕組み化した方が運用は安定します。

小規模な会社でも電子帳簿保存法の対応は必要ですか?

必要です。電子帳簿保存法における電子取引データの保存は、会社の規模にかかわらずすべての事業者が対象です。ただし、2課税年度前の売上高が5,000万円以下であれば、ダウンロードの求めに応じられることを条件に検索要件が不要になるため、対応の負担は軽くなります。

メールで受け取った請求書を印刷して保存するだけではだめですか?

原則として認められません。電子で受け取ったデータは電子のまま保存する必要があります。印刷した書面を日付と取引先ごとに整理しておくことは検索要件を不要にする条件の一つですが、その場合も電子データ自体の保存は必要です。

電子帳簿保存法の要件を満たさないとどうなりますか?

保存の要件を満たしていない場合、税務調査の際に帳簿や書類として扱われないおそれがあり、青色申告の承認に影響する可能性も指摘されています。また、電子取引データやスキャナ保存データに関連して隠蔽や仮装があった場合は、重加算税が10%加重される規定があります。早めに要件を整理し、無理のない範囲で対応を進めることが大切です。

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電子帳簿保存法のシステム対応とは?要件の整理から選定・運用まで解説

作成日 :

2026/10/2 08:24

更新日 :

2026/10/2 02:19

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会社概要

社名

株式会社FAKE

住所

〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1

代表取締役

高橋 才将

設立

2020年1月

事業

DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン