
基幹システムの刷新や全社DXの稟議を通すために、まずは名の知れた大手システム開発会社を候補に並べる。大企業の情報システム部門やDX推進部門では、こうした進め方がごく一般的です。
一方で、候補を並べた段階で「どの会社も実績は十分だが、違いが分からない」「要件が固まっていないのに見積もりを求められる」と手が止まるケースも少なくありません。大手SIerにはそれぞれ成り立ちと得意領域があり、類型を押さえると比較の解像度が上がります。
この記事では、大手システム開発会社の4類型と代表的な会社を公式情報ベースで整理し、大手以外の選択肢との使い分けを解説します。
大手システム開発会社、いわゆる大手SIerの定義と役割
メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系コンサルの4類型の違い
大手システム開発会社に依頼するメリットと注意点
NTTデータや富士通など代表的な大手8社の所在地と提供サービス
大手以外の選択肢として、上流工程から伴走する専門会社の位置づけ
大企業がシステム開発会社を比較するときの5つの選定軸
稟議やセキュリティ審査を見据えた発注の進め方
大手システム開発会社とは、一般に大規模なシステムインテグレーションを担う企業、いわゆる大手SIerを指します。SIerはシステムインテグレーターの略で、システムの企画・設計・開発・運用保守までを一括で請け負う事業者のことです。
大手システム開発会社の役割は、単にプログラムを書くことではありません。複数の業務システムやインフラ、外部サービスを組み合わせ、全社で動く一つの仕組みとして統合することにあります。
大企業の案件では、基幹システムとの連携、グループ会社への展開、監査やセキュリティ要件への対応が求められます。こうした規模と統制の要求に応えられる体制を持つことが、大手システム開発会社が選ばれてきた理由です。
ただし「大手」に明確な基準はありません。売上規模や従業員数、上場の有無などで語られることが多く、本記事では公式サイトで総合的なITサービスを掲げている代表的な企業を取り上げます。

大手システム開発会社は、成り立ちや資本関係によって4つの類型に分けて語られることが一般的です。類型は公式な区分ではなく業界での慣用的な整理ですが、得意領域や提案の傾向をつかむ手がかりになります。
メーカー系は、コンピューターや通信機器などのハードウェアメーカー、またはその系列のシステム開発会社です。自社製品やインフラ技術との組み合わせに強みがあり、官公庁や社会インフラなど大規模で止められないシステムの実績を持つ会社が多い類型です。
一方で、自社製品やグループの製品を前提とした提案になりやすい点は意識しておく必要があります。
ユーザー系は、金融・商社・通信などの事業会社の情報システム部門が独立する形で生まれたシステム開発会社です。親会社やグループ企業のシステムを担ってきた経験から、特定業界の業務知識が厚いことが特徴です。
親会社と同じ業界の案件では業務理解の深さが強みになります。反対に、業界外の新規事業や前例の少ないテーマでは、提案の幅を確認しておくとよいでしょう。
独立系は、メーカーや事業会社の資本に属さないシステム開発会社です。特定の製品や親会社の意向に縛られにくく、複数のパッケージやクラウドから中立的に選びやすい点が特徴とされます。
独立系にも大手から中小まで幅広い会社があり、得意業種や得意技術は会社ごとに大きく異なります。
外資系コンサルは、グローバルに展開するコンサルティングファームのうち、戦略立案からシステム導入まで手がける企業です。経営課題の整理や業務改革の構想段階から関与し、海外の先行事例やグローバル標準の手法を持ち込める点が強みです。
構想策定と実装の両方を同じ会社に任せられる反面、上流のコンサルティング費用が大きくなりやすいため、どこまでを依頼範囲とするかの設計が重要です。

大手システム開発会社への依頼には、大企業ならではのメリットがあります。その一方で、大手ゆえの構造的な注意点もあるため、両面を押さえたうえで比較することが大切です。
最大のメリットは、大規模案件を最後までやり切る体制と、プロジェクト管理の型を持っていることです。大人数のプロジェクトや複数年にわたる段階移行でも、要員の確保と品質管理の仕組みが整っています。
また、経営層や監査部門に対する説明のしやすさも見逃せません。稟議の場で「実績のある大手システム開発会社に依頼する」という判断は合意形成を進めやすく、セキュリティ審査や与信の手続きも比較的スムーズです。
全国や海外に拠点を持つ会社が多く、グループ会社への全社展開や、運用保守を長期で任せられる点もメリットです。
注意点の一つは、要件が固まっていない段階では提案や見積もりが慎重になりやすいことです。大規模案件ほど前提条件を明確にしてから見積もる傾向があり、構想段階の曖昧さを一緒に解きほぐす役割を期待しすぎると、期間と費用が膨らみます。
もう一つは、実際の開発が複数階層の協力会社によって担われるケースがあることです。窓口と開発現場の距離が遠いと、現場の使い勝手に関する細かな要望が伝わりにくくなります。
さらに、特定の製品や独自の開発基盤を前提にした構成になると、将来の改修や他社への切り替えが難しくなる場合があります。いわゆるベンダーロックインのリスクは、契約前に確認しておきたい論点です。

大企業のシステム開発では、すべての工程を一社の大手システム開発会社に任せる以外にも選択肢があります。代表的なのが、構想・要件定義などの上流工程に強い専門会社を組み合わせる方法です。
観点 | 大手システム開発会社 | 上流から伴走する専門会社 |
|---|---|---|
得意な局面 | 要件が固まった後の大規模開発と長期運用 | 構想・要件定義など論点が曖昧な初期段階 |
進め方 | ドキュメントを積み上げる工程管理型 | プロトタイプで具体化しながら合意を形成 |
体制 | 大人数の階層型チーム | 少人数で意思決定者と現場の近くに入る |
提案の前提 | 自社の製品・基盤やパッケージを含むことが多い | パッケージ前提でない構成を検討しやすい |
向いている案件 | 全社基盤の刷新、ミッションクリティカルな更改 | 現場定着が課題の業務システム、新規の業務設計 |
両者は対立するものではありません。上流で要件と画面イメージを固めてから大手システム開発会社に開発を依頼する、あるいは上流から実装まで専門会社に任せて段階的に広げるなど、案件の性質に合わせて組み合わせるのが現実的です。

ここからは、大手以外の選択肢として株式会社FAKEを最初に紹介し、続いて4類型ごとに代表的な大手システム開発会社8社を紹介します。各社の情報は、記事執筆時点で各社公式サイトに掲載されている内容をもとにしています。
株式会社FAKEは、東京・恵比寿に拠点を置き、デザインドリブンを掲げてUI/UXデザイン、業務システムの戦略からUI/UXデザイン・システム開発、新規事業支援、FDE支援、AI開発を提供する会社です。大手システム開発会社とは異なり、上流工程から少人数で伴走する専門会社という位置づけです。
FDE支援では、大企業DXの上流工程に入り、プロトタイプとヒアリングを反復して抽象的な議論を具体化します。AIでドキュメント作成も並行し、認識合わせと要件定義書の作成を一つのフローで完結させる点が特徴です。
FAKEは、DXが失敗する原因を「現場に使われないシステム」と「要件定義・合意形成に時間がかかりすぎること」の2つと捉えています。UX起点の業務再設計とプロトタイピングでこの2つを解決し、パッケージ前提でない提案と、AI駆動によるスクラッチ開発でベンダーロックインを避けることを目指しています。
システム開発では、ビジネス理解のあるPdMを中心にチームを組成し、Figmaで詳細を詰めてから実装することでドキュメント作業を短縮します。MVP開発から品質重視の開発、保守運用まで対応しています。
項目 | 内容 |
|---|---|
所在地 | 東京・恵比寿 |
主なサービス | FDE支援、業務システム開発、UI/UXデザイン、AI開発、内製化支援 |
特徴 | プロトタイプによる上流の合意形成、UX起点の業務再設計、パッケージ前提でない提案 |
確認元 |
上流の構想や要件定義から相談したい場合は、FAKEへのお問い合わせからご連絡ください。
NTTデータは、NTTデータグループの国内事業会社として位置づけられているシステム開発会社です。本社は東京都江東区豊洲で、公式サイトでは世界70ヵ国以上でITサービスを提供していると紹介されています。
提供サービスは、戦略・業務・デザインなどのコンサルティング、CRMやERPなどのビジネスニーズ別ソリューション、生成AIやデータ活用などのテクノロジー、クラウドやサイバーセキュリティなどのITインフラ・運用と幅広く整理されています。一般にはユーザー系に数えられることが多い会社です。
確認元は https://www.nttdata.com/jp/ja/about-us/profile/ です。
野村総合研究所は、本社を東京都千代田区大手町に置く会社です。公式サイトの会社概要では、事業内容を「コンサルティング、金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービス」としています。
コンサルティングとITソリューションの両方を事業の柱に持っている点が特徴で、構想段階から開発・運用までを一つの会社に相談しやすい大手システム開発会社です。一般にはユーザー系に分類されることが多い会社です。
確認元は https://www.nri.com/jp/company/info.html です。
SCSKは、本社を東京都江東区豊洲に置く会社です。公式サイトの沿革によると、2011年10月に住商情報システムと株式会社CSKが合併してSCSK株式会社となりました。2026年3月には、住友商事の子会社による公開買付けなどに伴い東京証券取引所プライム市場の上場を廃止しています。
公式サイトでは、コンサルティングからシステム開発、検証サービス、ITインフラ構築、ITマネジメント、ITハード・ソフト販売、BPOまでをフルラインアップで提供すると説明しています。商社系のユーザー系として語られることが多い会社です。
確認元は https://www.scsk.jp/naruhodo/index.html と https://www.scsk.jp/corp/history.html です。
伊藤忠テクノソリューションズ、略称CTCは、本社を東京都港区虎ノ門に置く会社です。公式サイトの会社概要では、伊藤忠商事株式会社が主要株主として記載されています。
事業内容は、クラウド・AI・データ分析・サイバーセキュリティをはじめとするシステム販売・構築サービスで、コンサルティングから運用・保守までのITライフサイクル全体を支援するとしています。科学・工学分野向けのITサービスも手がけています。
確認元は https://www.ctc-g.co.jp/company/profile.html です。
TISI株式会社は、2026年7月1日付でTIS株式会社と株式会社インテックが合併し、商号を変更した会社です。本社は東京都新宿区西新宿にあり、TISインテックグループに属しています。
公式サイトでは、グループを親会社を持たない独立系の総合ITサービス企業と位置づけ、ITサービス全般をワンストップで提供するとしています。とくに決済領域での事業展開に力を入れている点が特徴です。
確認元は https://www.tisi.jp/news/2026/tisi_info/20260701_1.html と https://www.tisi.jp/ir/individual/group/index.html です。
富士通は、本店を神奈川県川崎市中原区に置くメーカー系の大手です。公式サイトのプロフィールでは、事業内容をサービスソリューション、ハードウェアソリューション、ユビキタスソリューションとしています。
公式サイトでは自社を「DXパートナー」と位置づけ、エンタープライズ向けAI、ビジネスアプリケーション、クラウドプラットフォーム、コンサルティング、セキュリティなどのサービスを掲げています。事業モデルとしてUvanceを打ち出し、構想から実装まで支援する変革コンサルティングとしてUvance Wayfindersを紹介しています。
確認元は https://global.fujitsu/ja-JP/about/corporate/facts と https://global.fujitsu/ja-JP/about/corporate です。
日本電気株式会社、NECは、本社を東京都港区芝に置くメーカー系の大手です。公式サイトでは、1899年に日本初の外資系合弁企業として設立されたと紹介されています。
公式サイトでは、認識AI、分析AI、制御AI、セキュリティ、ネットワーク、システムプラットフォームを6つのコア技術領域として挙げています。通信やネットワークなどのインフラ技術と、AIやセキュリティを組み合わせた提案が期待できる会社です。
確認元は https://jpn.nec.com/profile/fact/index.html です。
アクセンチュア株式会社は、本社を東京都港区赤坂に置く外資系コンサルです。公式サイトの沿革では、日本での事務所開設を1962年、会社設立を1995年12月としています。
サービスは、戦略コンサルティング、テクノロジー・トランスフォーメーション、AIとデータ、クラウド、サイバーセキュリティ、サプライチェーン、マネージド・サービスなど多岐にわたります。金融や通信、公共サービスなど業界別の支援体制も公式サイトで示されています。
確認元は https://www.accenture.com/jp-ja/about/company/history です。

大手システム開発会社と専門会社のどちらが適しているかは、会社の知名度ではなく案件の性質で決まります。ここでは、大企業の担当者が比較の際に確認したい5つの軸を紹介します。
構想や要件定義が固まっていない段階では、要件を受け取って見積もる会社より、論点の整理から一緒に考える会社が向いています。提案時に、ヒアリングの進め方や要件定義の成果物のイメージを具体的に聞いておくと判断しやすくなります。
画面や業務フローのプロトタイプを早期に見せてもらえるかどうかは、情報システム部門と事業部門の認識を合わせるうえで大きな差になります。
大企業のシステムが失敗する典型は、仕様どおりに完成したのに現場に使われないことです。機能一覧から入るのではなく、利用者の業務と操作体験から設計できるシステム開発会社かどうかを確認します。
提案資料に業務の流れと画面のつながりが描かれているか、利用者へのヒアリングを工程に組み込んでいるかが見極めのポイントです。
特定のパッケージや自社製品が先に決まっていると、業務をシステムに合わせる範囲が大きくなります。スクラッチ開発、パッケージ、SaaSを比較したうえで提案しているかを確認しましょう。
将来の改修や他社への切り替えを見据え、ソースコードや設計書の扱い、契約形態も事前に確かめておくと安心です。契約形態の考え方は準委任と請負の違いも参考になります。
大規模な体制は安心感がある一方、窓口と実際の作り手の距離が遠くなりがちです。提案時の担当者がプロジェクトにどこまで関与するのか、開発を担うメンバーが誰なのかを確認します。
現場に入り込みながら設計と実装を進めるFDEという働き方もあります。考え方はFDEとはの記事で詳しく解説しています。
全社システムを一度に入れ替えるのはリスクが大きいため、対象業務を区切って段階的に移行する計画が立てられるかを確認します。小さく始めて効果を確かめ、全社展開へ広げる進め方は稟議でも説明しやすくなります。
あわせて、将来的に自社で改修や運用を担える状態を目指すのか、長期で外部に任せるのかの方針も、システム開発会社の選定前に決めておくとよいでしょう。

大手システム開発会社に依頼する場合も、専門会社を組み合わせる場合も、発注側の準備が成否を左右します。ここでは大企業ならではの手続きを踏まえた進め方を整理します。
最初に、経営課題とシステム化の目的、対象とする業務範囲を社内で言語化します。情報システム部門と事業部門、経営層の間で目的がずれたまま発注すると、要件定義の段階で手戻りが起きます。
複数のシステム開発会社を公平に比較するには、RFP、つまり提案依頼書で前提条件をそろえることが欠かせません。目的、対象業務、既存システムとの連携、非機能要件、スケジュール、評価基準を明記します。書き方の詳細はRFPの書き方で解説しています。
大企業では、委託先のセキュリティ審査や情報管理体制の確認に時間がかかります。候補が絞れた段階で審査の準備を始め、再委託の有無や開発拠点、データの取り扱いも確認しておきましょう。
要件定義書の文章だけで合意すると、完成後に「思っていたものと違う」というずれが生じがちです。画面のプロトタイプを使って利用部門に確認してもらうことで、開発前に認識の差を埋められます。
大規模なプロジェクトでは、発注側にもPMOを置き、進捗や課題、変更要求を管理する仕組みが必要です。システム開発会社に任せきりにせず、判断すべき事項を発注側が持ち続けることが、全社展開までやり切るための前提になります。
システム開発会社の比較の観点をさらに詳しく知りたい方は、システム開発会社の選び方もあわせてご覧ください。

大手システム開発会社は、メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系コンサルの4類型に分けると、それぞれの成り立ちと得意領域が見えてきます。大規模案件をやり切る体制や稟議での説明のしやすさは大手の強みですが、構想段階の曖昧さを解きほぐす局面や、現場の使い勝手が成否を分ける業務システムでは、上流から伴走する専門会社が力を発揮します。
大切なのは、知名度ではなく案件の性質から依頼先を選ぶことです。上流工程の進め方、UX起点の設計、パッケージを前提にしない提案、現場に近い体制、段階移行の計画という5つの軸で比較すると、自社に合うシステム開発会社が見えてきます。
FAKEでは、プロトタイプを使った要件定義やFDEによる伴走を通じて、大企業のシステム開発を上流から支援しています。大手システム開発会社との役割分担も含めて検討したい場合は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
厳密には同じではありません。システム開発会社は開発を請け負う会社全般を指し、SIerはその中でも複数のシステムやインフラを統合して全体を構築する事業者を指します。大手システム開発会社と呼ばれる会社の多くは、SIerとしての機能を持っています。
一概にどちらが優れているとはいえません。インフラやハードウェアを含む大規模な基盤の更改ではメーカー系、特定業界の業務知識が重要な案件では同じ業界に親会社を持つユーザー系が候補になりやすい傾向があります。最終的には、自社の案件に近い実績と提案内容で比較することが大切です。
可能です。上流工程の構想や要件定義、プロトタイプによる検証を専門会社に依頼し、固まった要件をもとに大手システム開発会社へ開発を依頼する進め方もあります。役割分担と成果物の引き継ぎ方法を契約前に決めておくと、スムーズに連携できます。
相談できる会社は多くあります。ただし、要件が固まっていない段階では見積もりの幅が大きくなるため、まずは要件定義やプロトタイピングの工程だけを切り出して依頼する方法が有効です。FAKEでも構想段階からのご相談をお問い合わせで受け付けています。
設計書やソースコードの権利と引き渡し範囲を契約で明確にすること、特定製品に依存しない構成を比較検討することが基本です。あわせて、発注側でも業務とシステムの全体像を把握できる人材を育て、判断を外部に委ねきらない体制をつくることが有効です。
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〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
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設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン