
既存事業の成長が鈍り、次の柱となる新規事業を任された。そんなとき、何から手をつければ成功に近づけるのか迷う人は多いはずです。新規事業は、既存事業の延長線上で計画を立てても思うように進みません。顧客も市場も不確かな状態から出発するため、正解を最初に描くのではなく、仮説を立てて小さく検証し、学びながら形を変えていく進め方が欠かせません。この記事では、新規事業を成功させるコツを、立ち上げの8ステップ、つまずきやすい失敗パターン、組織と体制づくりの観点から整理します。プロトタイプを使って新規事業の立ち上げを支援してきたデザイン会社の視点も交えて解説します。
新規事業が既存事業と比べて難しい理由
新規事業を成功させる進め方の8ステップ
新規事業の成功確率を高めるコツ
新規事業が失敗しやすい典型的なパターン
新規事業の段階ごとに見るべき指標
新規事業の成功に必要な組織と体制
新規事業の検証で使えるフレームワーク
新規事業を成功させるのが難しいのは、担当者の能力が足りないからではありません。既存事業とは前提条件がまったく異なるからです。
既存事業では、顧客が誰で、何に価値を感じ、いくらなら払うのかが、過去の実績からある程度わかっています。そのため、計画を立てて、その通りに実行することが成果につながります。一方、新規事業では、顧客も課題も価値も、すべてが仮説の段階です。計画の前提そのものが間違っている可能性があり、計画通りに進めるほど、誤った方向に資源を投じてしまうことがあります。
また、社内の評価や意思決定の仕組みが、既存事業向けに作られていることも新規事業の成功を難しくします。短期の売上や確度の高い計画を求められると、検証のための小さな失敗が許されず、結果として大きな失敗を招きやすくなります。新規事業を成功させるには、この前提の違いを関係者全員で共有するところから始める必要があります。

新規事業の立ち上げは、次の8つのステップで進めるのが一般的です。各ステップで仮説を検証し、うまくいかなければ前のステップに戻る、行き来する進め方を前提にしてください。
まず、なぜ新規事業に取り組むのか、会社としての目的を明確にします。既存事業とのシナジーを狙うのか、まったく新しい収益の柱を作るのかで、選ぶべき事業領域も評価の基準も変わります。目的があいまいなまま進めると、途中で判断の軸がぶれて新規事業の成功が遠のきます。
次に、誰のどんな課題を解決するのかを仮説として言語化します。この段階では、アイデアそのものよりも、顧客と課題の解像度を上げることが重要です。課題が本当に存在し、顧客が解決にお金や時間を使う価値を感じているかが、新規事業の成否を大きく左右します。
仮説の対象となる市場の規模や成長性、既存の代替手段、競合のサービスを調べます。デスクリサーチに加えて、想定顧客へのインタビューを行い、課題の深さや現状の解決方法を直接確かめることが大切です。
顧客の課題に対して、自社が提供する価値と、競合や代替手段との違いを整理します。あわせて、誰からどのように収益を得るのか、ビジネスモデルの骨格を描きます。価値提案の整理にはバリュープロポジションの作り方、事業全体の構造の整理にはリーンキャンバスが役立ちます。
価値提案が顧客に響くかを、作り込む前に確かめます。画面のモックアップや、実際に操作できるプロトタイプを見せて反応を確かめると、言葉だけのインタビューよりも本音に近い評価が得られます。新規事業におけるプロトタイプの役割は新規事業におけるプロトタイプ設計の重要性で詳しく解説しています。
価値の手応えが得られたら、最小限の機能を持つ製品であるMVPを作り、実際の顧客に使ってもらいます。利用率や継続率、支払い意向など、事前に決めた指標で市場の反応を確かめます。MVPの進め方はMVP開発とはを参考にしてください。
MVPで得た数字をもとに、収支計画や必要な投資、体制を具体化します。ここで初めて、精度の高い事業計画が描けるようになります。社内の承認を得るときも、検証の結果という根拠があることで説得力が大きく変わります。
本格的にサービスを提供し始めた後も、検証と改善のサイクルは続きます。顧客の利用データやフィードバックをもとに、機能や価格、届け方を見直し、事業を育てていきます。新規事業の成功は、立ち上げた瞬間ではなく、改善を続けた先にあります。
8つのステップを進めるうえで、新規事業の成功確率を高めるコツを5つ紹介します。
1つ目は、アイデアよりも顧客の課題から出発することです。魅力的なアイデアほど、作り手の思い込みが入りやすくなります。顧客が実際に困っていることを起点にすると、作ったのに使われないという事態を避けやすくなります。
2つ目は、小さく速く検証することです。最初から完成度の高い製品を作るのではなく、紙のスケッチやプロトタイプ、限定的なMVPで仮説を確かめます。検証の単位を小さくすると、失敗したときの損失も小さく抑えられます。
3つ目は、撤退と方向転換の基準を先に決めておくことです。どの指標がどの水準に届かなければ見直すのかを事前に決めておくと、感情や社内事情に流されずに判断できます。方向転換は失敗ではなく、新規事業を成功に近づけるための前進です。
4つ目は、数字と顧客の声の両方を見ることです。利用データだけでは理由がわからず、インタビューだけでは規模がわかりません。定量と定性を組み合わせることで、次に何を変えるべきかが見えてきます。
5つ目は、体験全体をデザインすることです。新規事業では、機能の有無よりも、顧客が初めてサービスを知り、使い始め、価値を実感するまでの体験が成否を分けます。体験の流れを可視化する方法はカスタマージャーニーとはで紹介しています。
新規事業の成功を目指すうえでは、よくある失敗のパターンを知っておくことも大切です。
最も多いのは、顧客の課題を確かめないまま作り始めてしまうケースです。社内で盛り上がったアイデアをそのまま開発し、リリース後に需要がないことがわかる、という失敗は珍しくありません。
次に多いのが、検証の段階で作り込みすぎるケースです。MVPのはずが機能を盛り込みすぎ、検証までに時間と予算を使い果たしてしまいます。こうなると、方向転換に必要な余力が残りません。
また、PoCの段階から先に進めないケースもあります。技術的に実現できることは確認できたものの、誰がどの予算で事業として運営するのかが決まらず、検証が繰り返されるだけで終わってしまいます。PoCの時点から、事業化の条件と判断する人を決めておくことが重要です。
最後に、既存事業の評価基準で新規事業を測ってしまうケースです。立ち上げ初期から短期の売上や利益を求めると、検証に必要な試行錯誤ができず、芽が出る前に事業が止まってしまいます。
新規事業の成功には、進め方だけでなく、それを支える組織と体制が欠かせません。
まず、意思決定の権限を事業チームに持たせることです。検証の結果に応じて素早く方向を変えるには、そのたびに複数の会議で承認を取る体制では間に合いません。予算と判断の範囲をあらかじめ決めて、チームに任せることが大切です。
次に、職種を横断したチームを組むことです。事業の企画担当だけでなく、デザイナーやエンジニアが初期から加わると、アイデアをすぐにプロトタイプにして確かめられるようになります。企画、デザイン、開発が分断されていると、検証のたびに伝言が発生し、スピードが落ちます。
さらに、社内に足りない専門性を外部で補うことも選択肢になります。新規事業の経験や、プロトタイプによる検証の型を持つパートナーと組むことで、立ち上げの初期でつまずくリスクを減らせます。外部パートナーの選び方は、新規事業開発に強いデザイン会社12選や新規事業開発に強いFDE支援会社8選で紹介しています。
新規事業の成功を判断するには、段階に合った指標を見ることが欠かせません。立ち上げ初期から売上や利益だけで評価すると、まだ芽が出ていない事業を早すぎる段階で止めてしまいます。
段階 | 確かめたいこと | 見るべき指標の例 |
|---|---|---|
課題の検証 | 顧客の課題は本当に存在するか | インタビューで同じ課題を挙げた人の割合、現状の解決手段にかけている手間や費用 |
価値の検証 | 提案する解決策に価値を感じるか | プロトタイプへの反応、利用したいと答えた人の割合、事前登録の数 |
市場の検証 | お金を払ってでも使い続けるか | MVPの継続率、有料転換率、紹介の発生 |
事業の拡大 | 収益が成り立ち、伸ばせるか | 顧客獲得単価、顧客生涯価値、売上の成長率 |
段階を進めるたびに、見るべき指標も切り替わります。今どの段階にいて、次の段階に進むために何を確かめるべきかをチームで共有しておくと、新規事業の議論が数字にもとづいたものになり、成功に向けた判断がしやすくなります。
新規事業の検証を効率よく進めるために、目的に合ったフレームワークを使い分けると便利です。
目的 | フレームワーク | 使いどころ |
|---|---|---|
顧客と課題を整理する | ペルソナ、カスタマージャーニーマップ | ステップ2〜3で、誰のどんな場面の課題かを具体化する |
価値を整理する | バリュープロポジションキャンバス | ステップ4で、顧客の課題と提供価値の対応を確かめる |
事業の全体像を描く | リーンキャンバス、ビジネスモデルキャンバス | ステップ4で、収益の仕組みやコスト構造を一枚にまとめる |
仮説を管理する | 仮説検証シート | 全ステップで、検証すべき仮説と結果、次の行動を記録する |
フレームワークは、埋めること自体が目的ではありません。チームで同じ絵を見ながら、どこがまだ仮説で、何を検証すべきかを話し合うための道具として使うのがコツです。仮説の立て方については仮説とはも参考にしてください。
新規事業の成功が難しいのは、顧客も課題も価値もすべてが仮説の段階から始まるためです。新規事業を成功させるには、目的と事業領域を決め、顧客と課題の仮説を立て、市場を調べ、価値提案とビジネスモデルを描き、プロトタイプとMVPで検証してから、事業計画を固めて立ち上げと改善を回す、という8つのステップを行き来しながら進めることが大切です。
あわせて、顧客の課題から出発する、小さく速く検証する、撤退と方向転換の基準を先に決める、といったコツを押さえ、意思決定の権限を持つ職種横断のチームで進めることが、新規事業の成功確率を高めます。よくある失敗パターンを避けながら、学びを積み重ねていきましょう。
最初にやるべきことは、新規事業に取り組む目的を明確にし、誰のどんな課題を解決するのかという仮説を立てることです。アイデアから考え始めるよりも、顧客と課題を起点にしたほうが、使われない製品を作ってしまうリスクを減らせます。
事前に検証する指標と、見直しの基準を決めておくことが大切です。たとえば、MVPの段階では利用率や継続率、支払い意向などを指標にし、基準に届かなければ方向転換を検討します。指標と基準を先に決めておくと、感情や社内事情に左右されずに判断できます。
作り込む前に、顧客の反応を具体的に確かめられることです。言葉だけの説明では顧客も評価しにくいですが、実際の画面や操作を見せると、本音に近い反応が得られます。開発の手戻りを減らし、検証のスピードを上げられる点もメリットです。
社内に新規事業の経験や、デザイン、開発の専門性が不足している場合は、外部の支援を受けるのも有効です。ただし、事業の判断を外部に任せきりにせず、社内に検証のノウハウが残る形で協業できるパートナーを選ぶことが大切です。
【2026年最新版】アプリ開発に強いデザイン会社12選
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】マーケティングに強いデザイン会社12選|事業成長を牽引するUXと組織の壁の越え方
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】新規事業開発に強いデザイン会社12選
デザイン
SaaS
システム開発
企業紹介
【2026年最新版】業務システム開発に強いデザイン会社12選
デザイン
To B
企業紹介
【2026年最新版】UXに強いデザイン会社12選 :失敗しないための3つの選定軸と特徴を徹底解説
デザイン
UIUX
企業紹介
【2026年最新版】WEBアプリ・スマホアプリのUIUXに強いデザイン会社おすすめ12選
デザイン
UIUX
ナレッジ
企業紹介
【2026年最新版】UXデザインに強い東京のデザイン会社12選
デザイン
ナレッジ
To B
企業紹介
新規事業支援に強いUXデザインコンサル会社12選
ナレッジ
新規事業
デザイン
企業紹介
【2026年最新版】おすすめのデザイン会社10選 失敗しないデザイン会社選びのポイントを解説
ナレッジ
UIUX
デザイン
企業紹介
【2026年最新版】デザイナーが選ぶデザインシステム導入支援に強い会社12選
デザイン
UIUX
ナレッジ
企業紹介
ブログ
お問い合わせ
お問い合わせ
|
会社概要
社名
株式会社FAKE
住所
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
代表取締役
高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン