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コンポーザブルERPとは?従来型ERPとの違いと導入の進め方を解説

  • 業務システム

  • システム開発

  • SaaS

作成日 :

2026/10/2 08:25

更新日 :

2026/10/2 02:06

基幹システムの刷新を検討し始めると、大型パッケージを一括で入れ替えるか、それとも必要な機能から順に組み直すかという選択に必ず突き当たります。後者の考え方を体系化したものが、近年よく耳にするコンポーザブルERPです。

ただし、言葉だけが先行し、従来型ERPと何が違うのか、自社にとって本当に向いているのかが見えにくいのも実情です。この記事では、コンポーザブルERPの定義から従来型との違い、メリットと注意点、導入の進め方、向いている企業の条件までを解説します。

この記事を読むと理解できること

  • コンポーザブルERPの基本的な定義と考え方

  • モノリシックERPやポストモダンERPとの違い

  • コンポーザブルERPが注目されるようになった背景

  • 柔軟性やスモールスタートといった主なメリット

  • 連携の複雑化やセキュリティなど導入時の注意点

  • 導入を進めるためのステップと判断のポイント

  • コンポーザブルERPが向いている企業と向いていない企業の特徴

コンポーザブルERPとは何か?

結論から言うと、コンポーザブルERPとは、会計・販売・在庫・人事といった業務機能を独立した部品として捉え、それらを組み合わせて自社に合った基幹システムを構成する考え方です。1つの巨大なパッケージにすべてを任せるのではなく、必要な機能を必要な単位で選び、APIなどでつないで全体を作ります。

コンポーザブルERPの基本的な定義

コンポーザブルは「組み立て可能な」という意味の英語です。コンポーザブルERPは、2020年ごろに調査会社のガートナーが提唱した概念として紹介されることが多く、ERPを固定された製品ではなく、組み替え可能な構成として扱う点に特徴があります。

部品となる単位は、パッケージ化されたビジネス機能という意味でPBCと呼ばれることもあります。PBCは、受注処理や請求処理のように業務として意味のあるまとまりで、単体でも動き、他の部品ともつながるように設計されています。

コンポーザブルERPを構成する3つの要素

コンポーザブルERPは、大きく3つの要素で成り立っています。1つ目は、データやID管理、権限などを共通で扱う基盤です。2つ目は、会計や販売管理などの業務機能を担う個々のコンポーネントです。

3つ目が、コンポーネント同士をつなぐAPIや連携基盤です。この連携部分を担う仕組みとして、iPaaSと呼ばれるクラウド型の連携サービスが使われることもあります。詳しくはiPaaSとは何かを解説した記事で整理しています。

ERPそのものの役割はどう変わるのか

ERPは本来、企業の経営資源を一元的に管理し、部門をまたいだデータを統合するための仕組みです。コンポーザブルERPでもこの目的は変わりません。

変わるのは、統合の手段です。従来は1つのシステムの中にデータを閉じ込めることで統合していましたが、コンポーザブルERPでは、複数の部品がデータをやり取りしながら全体として整合性を保つという考え方に移ります。

コンポーザブルERPと従来型ERPの違いは?

コンポーザブルERPと従来型ERPのいちばん大きな違いは、システムの境界をどこに引くかです。従来型は1製品の中で業務を完結させる発想で、コンポーザブルERPは複数の部品の組み合わせで業務を完結させる発想です。

モノリシックERPからコンポーザブルERPへの変遷

ERPの歴史は、おおむね3つの段階で語られます。最初は、会計から生産までを1つの製品でまかなうモノリシックERPの時代です。統合度は高い一方で、導入に時間がかかり、業務に合わせた追加開発が積み重なりやすいという課題がありました。

次に、コアの業務は中核のERPに残しつつ、周辺の業務をクラウドサービスで補うポストモダンERPという考え方が広がりました。その延長線上で、中核と周辺という区別そのものを緩め、すべてを組み替え可能な部品として扱うのがコンポーザブルERPです。

比較表で見る違い

主な観点で両者を比べると、次のように整理できます。

観点

従来型ERP

コンポーザブルERP

構成

1製品で業務を一括管理

業務機能ごとの部品を組み合わせる

導入の進め方

全社一斉の大規模導入が中心

優先度の高い領域から段階導入

変更への対応

追加開発やバージョンアップに時間がかかる

部品単位で入れ替え・追加できる

ベンダー

単一ベンダーに集約されやすい

複数ベンダーの組み合わせが前提

運用の難所

改修の重さとバージョンアップ対応

連携部分の管理とデータの整合性

求められる力

パッケージに業務を合わせる力

全体構成を設計し続ける力

この表から分かるとおり、コンポーザブルERPは従来型の課題を解消する代わりに、全体を設計し続ける責任を自社側に求めます。どちらが優れているかではなく、どちらの難しさを引き受けるかの選択だと捉えると判断しやすくなります。

基幹システムと業務システムの境界も変わる

従来は、ERPが担う基幹システムと、現場ごとの業務システムははっきり分かれていました。コンポーザブルERPでは、現場向けの業務アプリも部品の1つとして組み込めるため、この境界が曖昧になります。

両者の違いと切り分け方については、基幹システムと業務システムの違いを解説した記事も参考になります。

コンポーザブルERPが注目される背景は?

コンポーザブルERPが注目される理由は、事業環境の変化の速さに、従来型ERPの改修サイクルが追いつかなくなってきたことにあります。加えて、SaaSやAPI連携の技術が成熟し、組み合わせ型の構成が現実的になったことも後押ししています。

事業変化のスピードと改修サイクルのずれ

新しい販売チャネルの追加や、M&Aによる組織統合、料金体系の変更など、基幹システムに影響する変化は以前より頻繁に起こります。従来型ERPでは、こうした変化のたびに大がかりな追加開発が必要になり、対応が遅れがちでした。

コンポーザブルERPであれば、影響を受ける部品だけを入れ替えたり追加したりすることで、変化に合わせやすくなります。この「変えやすさ」が最大の注目点です。

SaaSとAPIの普及

会計や経費精算、勤怠、販売管理などの領域では、特定業務に強いSaaSが数多く登場しています。これらの多くはAPIを公開しており、他のシステムとつなぐことを前提に設計されています。

部品となるサービスが揃い、つなぐ手段も整ってきたことで、コンポーザブルERPは構想から実装可能な選択肢へと変わってきました。

大型ERPの更新時期という現実的なきっかけ

国内では、SAP ECC 6.0の標準保守が2027年末に終了することを受けて、基幹システムの見直しを迫られている企業が少なくありません。このタイミングで、同じ大型パッケージに乗り換えるだけでなく、構成そのものを見直す選択肢としてコンポーザブルERPが検討されています。

この論点はSAP 2027年問題を解説した記事で詳しく扱っています。

コンポーザブルERPのメリットと注意点は?

コンポーザブルERPのメリットは、柔軟性と段階的な投資のしやすさにあります。一方で、連携の複雑化や運用負荷の増加といった注意点もあり、メリットだけを見て導入すると失敗しやすくなります。

主なメリット

1つ目のメリットは、業務の変化に合わせて部品単位で構成を変えられる柔軟性です。特定の機能だけを最新のサービスに入れ替えることもでき、システム全体を作り直す必要がありません。

2つ目は、スモールスタートが可能な点です。効果の大きい領域から導入し、成果を確認しながら範囲を広げられるため、初期投資を抑えつつリスクを分散できます。

3つ目は、新しい技術を取り込みやすい点です。たとえばAIを活用した需要予測や請求書処理のような機能も、部品として追加できます。

注意すべきデメリット

最大の注意点は、部品が増えるほど連携部分が複雑になることです。どのデータがどこで更新され、どこに正本があるのかを管理できていないと、数字が合わない、原因が追えないといった問題が起こります。

また、複数ベンダーのサービスを組み合わせるため、障害時の切り分けやバージョンアップの影響確認が難しくなります。連携部分はセキュリティ上の弱点にもなりやすく、認証や権限の設計を後回しにすると危険です。

メリットと注意点の整理

論点

メリット

注意点

柔軟性

部品単位で入れ替えられる

構成の全体像が見えにくくなる

コスト

段階的に投資できる

連携や運用のコストが積み上がる

技術

新しいサービスを取り込みやすい

ベンダーごとの更新に追従が必要

体制

領域ごとに最適な選択ができる

全体を設計する担当者が不可欠

見落とされやすい使い勝手の分断

技術面以上に見落とされやすいのが、利用者から見た使い勝手の分断です。部品ごとに画面や操作の作法が異なると、現場は複数のシステムを行き来しながら作業することになり、入力ミスや二重入力が増えます。

株式会社FAKEでは、業務システムのUI/UXをデザインドリブン®で設計する立場から、部品の組み合わせ方だけでなく、現場の業務の流れとして一貫した体験になっているかを最初に確認することを重視しています。

コンポーザブルERPの導入はどう進めるべきか?

コンポーザブルERPの導入は、いきなり部品を選ぶのではなく、業務の分解と優先順位づけから始めるのが基本です。完成形を最初から描き切ろうとせず、核となる領域から段階的に広げていく進め方が向いています。

ステップ1 現状の業務とシステムを棚卸しする

まず、現在の業務プロセスと、それを支えるシステムやデータの流れを可視化します。どの業務でどのデータを入力し、どこへ渡しているのかを洗い出すことで、部品として切り出せる単位が見えてきます。

この段階で、Excelや手作業でつないでいる箇所も含めて把握しておくことが重要です。見えていない手作業こそ、コンポーザブルERPで解消すべき課題であることが多いからです。

ステップ2 優先領域と全体の設計方針を決める

次に、変化が多い領域や課題が大きい領域から優先順位をつけます。同時に、データの正本をどこに置くか、マスタデータをどう管理するか、認証をどう統一するかといった全体の設計方針を決めます。

この設計方針がないまま部品を選ぶと、後から連携のルールがばらばらになり、コンポーザブルERPの利点が失われます。

ステップ3 部品を選定して小さく導入する

設計方針に沿って、優先領域の部品を選定します。選定では機能の多さよりも、APIの公開範囲、データの持ち出しやすさ、他の部品との連携実績を重視します。

導入は対象部署や対象業務を絞って始め、実際の業務で使えるかを確認します。ここで得た学びを、次の部品の選定や設計方針の見直しに反映させます。

ステップ4 運用体制を整えて範囲を広げる

最後に、連携部分の監視や障害対応、部品ごとのバージョンアップ確認を担う運用体制を整えます。IT部門だけでなく業務部門も構成の変更に関わる体制にしておくと、現場の変化に合わせた見直しがしやすくなります。

導入の進め方を外部パートナーと検討する場合は、業務システム・DXに強い開発会社の選び方をまとめた記事で比較の観点を確認できます。

コンポーザブルERPが向いている企業の特徴は?

コンポーザブルERPが向いているのは、事業や業務の変化が多く、全体設計を担える人材や体制を用意できる企業です。逆に、業務が標準化されていて変化が少ない企業では、従来型ERPのほうが合理的な場合もあります。

向いている企業の特徴

複数の事業を持ち、事業ごとに業務の流れが大きく異なる企業は、コンポーザブルERPの柔軟性を活かしやすいといえます。M&Aや新規事業の立ち上げが多い企業も、部品単位で構成を変えられる利点が大きくなります。

また、すでに特定業務でSaaSを活用しており、それらをつなぐ必要性を感じている企業も相性がよい傾向にあります。

慎重に検討すべき企業の特徴

業務が業界標準に近く、変化も少ない企業では、パッケージに業務を合わせる従来型のほうが運用は安定します。また、社内に全体構成を設計し続けられる担当者がいない場合、部品が増えるほど管理が難しくなります。

コンポーザブルERPは、一度導入すれば終わる製品ではなく、組み替え続ける前提の考え方です。その前提を引き受けられるかどうかが判断の分かれ目になります。

判断に迷ったときの考え方

判断に迷う場合は、全社を一気に切り替えるのではなく、変化の多い一部の領域だけをコンポーザブルERPの考え方で組み直してみる方法があります。小さく試すことで、自社の体制で運用し切れるかを確認できます。

現場に入り込みながら業務とシステムを一緒に設計するFDE型の支援を活用すると、構成の検討と現場での検証を並行して進めやすくなります。

まとめ

コンポーザブルERPとは、業務機能を部品として捉え、組み合わせて基幹システムを構成する考え方です。従来型ERPが1製品の中で業務を完結させるのに対し、コンポーザブルERPは部品の組み合わせで業務を完結させます。

柔軟性や段階的な投資のしやすさというメリットがある一方で、連携の複雑化や運用負荷、利用者体験の分断といった注意点もあります。導入では、業務の棚卸しと全体の設計方針づくりを先に行い、優先領域から小さく始めることが重要です。

整理すると、コンポーザブルERPは製品選びではなく、自社が構成を設計し続けられるかを問う選択です。自社の変化の多さと体制を踏まえたうえで、従来型との比較を進めてください。

コンポーザブルERPに関するよくある質問

コンポーザブルERPは特定の製品名ですか?

コンポーザブルERPは特定の製品名ではなく、基幹システムの構成に関する考え方です。ベンダー各社がこの考え方に沿った製品やサービスを提供していますが、どの製品を選んでも自動的にコンポーザブルになるわけではありません。

部品の分け方や連携の設計を自社で決めていくことが前提になります。

コンポーザブルERPと従来型ERPを組み合わせることはできますか?

可能です。中核となる会計などは従来型ERPのまま残し、変化の多い周辺領域から部品化していく進め方は現実的な選択肢です。

いきなり全体を置き換えるより、既存資産を活かしながら移行できるため、リスクを抑えやすくなります。

中小企業でもコンポーザブルERPは導入できますか?

規模にかかわらず検討は可能です。むしろ、会計や販売管理などのSaaSを組み合わせて使っている企業は、すでにコンポーザブルERPに近い構成になっている場合もあります。

ただし、部品が増えるほど連携の管理が必要になるため、誰が全体を把握するのかは事前に決めておくべきです。

コンポーザブルERPの導入で最初に決めるべきことは何ですか?

最初に決めるべきは、データの正本をどこに置くかと、マスタデータの管理ルールです。ここが曖昧なまま部品を増やすと、システム間で数字が合わなくなる原因になります。

あわせて、認証や権限の考え方を統一しておくと、セキュリティと使い勝手の両面で後の手戻りを減らせます。

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コンポーザブルERPとは?従来型ERPとの違いと導入の進め方を解説

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会社概要

社名

株式会社FAKE

住所

〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1

代表取締役

高橋 才将

設立

2020年1月

事業

DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン