
社内の問い合わせ対応をAIに任せたい、資料作成を自動化したいと考えても、一からアプリを開発するとなると時間も人手もかかります。そこで選択肢に挙がりやすいのが、画面操作で生成AIアプリを組み立てられるDifyです。
プログラミングの経験が少なくても試作でき、社内データを読み込ませたチャットボットや業務フローの自動化まで対応できます。この記事では、Difyとは何か、できること、料金プラン、使い方、業務で使う際の注意点までを順に解説します。
Difyとはどのようなツールで、何を目的に使うのか
チャットボット、ワークフロー、RAG、AIエージェントなどDifyでできること
n8nやPower Automateなど他ツールとの違い
クラウド版とセルフホスト版の料金プランと提供形態
Difyで最初のアプリを作るまでの手順
ライセンスやセキュリティなど業務で使う際の注意点
試作から本番運用へつなげるための考え方
Difyとは、大規模言語モデルを使ったAIアプリケーションを構築・運用するためのオープンソースのプラットフォームです。プロンプトの設計、社内データとの連携、処理の流れの組み立て、公開までを1つの画面で行えるのが特徴です。
Difyの名前は、Do It For Youの頭文字に由来すると公式ドキュメントで説明されています。ソースコードはGitHubで公開されており、開発元が提供するクラウド版と、自社のサーバーで動かすセルフホスト版のどちらでも利用できます。
従来、生成AIアプリを作るには、モデルのAPI呼び出し、文書の検索、画面の実装などを個別に開発する必要がありました。Difyはこうした部品をあらかじめ用意し、画面上で組み合わせるだけでアプリとして動かせるようにしています。
Difyの特徴は、大きく4つに整理できます。1つ目は、ドラッグアンドドロップで処理の流れを組み立てられるビジュアルな操作画面です。
2つ目は、複数の大規模言語モデルを切り替えて使える点です。OpenAIやAnthropic、Googleなどの主要なモデルに加え、オープンなモデルにも接続できるため、用途やコストに応じて選べます。
3つ目は、社内文書を検索して回答に使うRAGの仕組みが組み込まれている点です。4つ目は、作ったアプリをWebアプリやAPIとして公開でき、既存のシステムから呼び出せる点です。
Difyとよく比較されるのが、n8nやPower Automateといった業務自動化ツールです。これらは複数のサービスをつないで作業を自動化することが主な目的で、AIはその流れの中の1つの部品という扱いです。
一方のDifyは、生成AIを中心に据えたアプリを作るための基盤です。両者は対立するものではなく、Difyで作ったAIの処理を自動化ツールから呼び出すといった組み合わせも実務で行われています。
ツール | 主な目的 | 得意なこと | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
Dify | 生成AIアプリの構築と運用 | RAG、チャットボット、AIを中心にした処理の設計 | 社内データを使うAIアプリを素早く試作したいとき |
n8n | ワークフローの自動化 | 多数の外部サービスとのAPI連携 | 複数のSaaSをまたぐ定型作業を自動化したいとき |
Power Automate | Microsoft製品を中心にした業務自動化 | Microsoft 365やTeamsとの連携 | Microsoft環境で承認や通知を自動化したいとき |
個別開発 | 要件に合わせた専用システム | 画面や権限、既存システムとの細かな統合 | 大規模運用や独自の業務要件があるとき |
ノーコードで開発を進める考え方そのものについては、ノーコード開発とは何かを解説した記事も参考になります。

Difyでできることは、チャットボット、ワークフロー、社内データを使ったRAG、AIエージェント、そして作ったアプリの外部公開です。用途に応じてアプリの種類を選び、部品を組み合わせて作ります。
最も基本的な使い方は、対話形式で質問に答えるチャットボットです。プロンプトで役割や回答のルールを決めるだけで、社内向けのアシスタントを作れます。
より複雑な会話を設計したい場合は、チャットフローを使います。質問の内容によって処理を分岐させたり、途中で外部の情報を取りに行ったりと、会話の流れを細かく制御できます。
ワークフローは、入力を受け取ってから結果を返すまでの処理を、ノードと呼ばれる部品をつないで組み立てる機能です。文章の要約、分類、翻訳、データの抽出といった処理を順番に並べ、1回の実行で完結させられます。
例えば、問い合わせメールの本文を受け取り、内容を分類し、担当部署ごとに回答案を作るといった流れを作れます。条件分岐や繰り返しの処理も扱えるため、定型的な文書業務の多くはDifyのワークフローで表現できます。
Difyには、PDFやテキストなどの文書を登録して検索に使うナレッジの機能があります。登録した文書から質問に関連する部分を探し出し、その内容をもとに回答を生成するのがRAGと呼ばれる仕組みです。
社内規程や製品マニュアル、過去の問い合わせ履歴を登録すれば、根拠を示しながら答える社内ヘルプデスクを作れます。モデルが知らない社内固有の情報にも答えられるようになる点が、汎用のチャットサービスとの大きな違いです。
Difyでは、AIが目的に応じて自分で手順を考え、検索や計算、外部サービスの呼び出しといったツールを使い分けるエージェントも作れます。あらかじめ用意されたツールに加え、APIを登録して自社のシステムと連携させることも可能です。
エージェントは自由度が高い分、意図しない動きをすることもあります。業務で使う場合は、使えるツールの範囲を絞り、重要な操作の前に人の確認を挟む設計が欠かせません。本格的なエージェント開発を外部に依頼する場合の観点は、AIエージェント開発会社の選び方で整理しています。
作成したアプリは、URLを共有するだけで使えるWebアプリとして公開できます。社内サイトに埋め込んだり、APIとして既存の業務システムから呼び出したりすることもできます。
ここまでのDifyでできることを、アプリの種類ごとにまとめると次のとおりです。
アプリの種類 | できること | 業務での活用例 |
|---|---|---|
チャットボット | 対話形式で質問に回答する | 社内ヘルプデスク、製品の問い合わせ窓口 |
チャットフロー | 分岐や外部情報の取得を含む会話を設計する | 申請内容のヒアリングと案内 |
ワークフロー | 入力から出力までの処理を自動で実行する | 問い合わせメールの分類と回答案の作成 |
エージェント | AIがツールを選んで目的を達成する | 情報収集とレポートの下書き作成 |
テキスト生成 | 決まった形式の文章を生成する | 議事録の要約、商品説明文の作成 |

Difyの提供形態は、開発元が運営するクラウド版と、自社のサーバーで動かすセルフホスト版の2つです。クラウド版には無料で試せるプランがあり、セルフホスト版はコミュニティ版であればライセンス費用をかけずに利用できます。
クラウド版では、無料のSandboxプランから始められます。Sandboxプランは、作れるアプリの数や使えるメッセージクレジットに上限があり、まずは機能を試すためのプランという位置づけです。
本格的に使う場合は、ProfessionalやTeamといった有料プランを選びます。有料プランでは、作成できるアプリ数や利用できるクレジット、チームメンバーの数が増えます。料金や上限は改定されることがあるため、導入を検討する時点で公式サイトの料金ページを確認してください。
セルフホスト版は、GitHubで公開されているコミュニティ版を自社のサーバーやクラウド環境に構築して使う形態です。ソフトウェア自体の費用はかかりませんが、サーバーの費用や構築、保守の手間は自社で負担します。
大規模な組織向けには、Enterprise版も用意されています。シングルサインオンや権限管理、サポートなど、企業での運用に必要な機能を求める場合の選択肢で、料金は個別の見積もりとなります。
提供形態 | 費用の考え方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
クラウド版の無料プラン | 無料 | 機能を試したい、個人で検証したい | アプリ数やクレジットに上限がある |
クラウド版の有料プラン | 月額または年額の定額 | チームで本格的に使いたい | データが外部のクラウドで処理される |
セルフホストのコミュニティ版 | ソフトウェアは無料、インフラ費用は自社負担 | 機密データを自社環境で扱いたい | 構築と保守に技術者が必要 |
Enterprise版 | 個別見積もり | 大規模な全社展開、厳格な権限管理 | 契約と導入に時間がかかる |
なお、いずれの形態でも、接続する大規模言語モデルの利用料は別にかかる点に注意が必要です。日本語の業務文書に強いモデルや、データを国内で処理できるモデルを接続したい場合は、国産LLMの活用方法もあわせて検討するとよいでしょう。

Difyを使い始めるには、アカウントを作成し、利用するモデルを設定してから、アプリの種類を選んで組み立て、テストして公開するという流れで進めます。最初はクラウド版の無料プランで試すと、環境構築なしで操作感を確かめられます。
クラウド版であれば、公式サイトからメールアドレスや外部アカウントで登録するだけで利用を始められます。セルフホスト版を使う場合は、GitHubのリポジトリに用意されている手順に沿って、Dockerを使って環境を構築します。
次に、設定画面で利用する大規模言語モデルのプロバイダーを登録します。各社のAPIキーを入力すると、アプリの中でモデルを選べるようになります。
用途によってモデルを使い分けられるため、精度を重視する処理と、速さや費用を重視する処理で別のモデルを指定することも可能です。
アプリの種類を選び、プロンプトやノードを組み立てます。最初はテンプレートを使うと、全体の構成をつかみやすくなります。
ナレッジを使う場合は、文書をアップロードして検索の設定を行います。画面上のプレビューで実際に質問を入力し、期待どおりの回答が返るかを確かめながら調整します。
テストで問題がなければ、Webアプリとして公開するか、APIとして既存のシステムに組み込みます。公開後は、ログ画面で利用者の質問と回答を確認できるため、うまく答えられなかった質問をもとにプロンプトやナレッジを改善していきます。

Difyを業務で使う際は、ライセンス条件、データの扱い、回答の品質管理、そして現場への定着の4点に注意が必要です。試作は簡単にできても、業務で使い続けるには別の設計が求められます。
Difyはオープンソースとして公開されていますが、ライセンスはApache License 2.0に追加の条件を加えたものです。明示的な許可なしにマルチテナントのサービスとして提供することや、画面上のDifyのロゴや著作権表示を削除、変更することが制限されています。
社内利用であれば多くの場合は問題になりませんが、Difyを組み込んだサービスを顧客に提供する場合は注意が必要です。商用での利用形態を決める前に、GitHubのライセンス文書を法務部門と確認しておきましょう。
クラウド版を使う場合、登録した文書や会話の内容は外部のクラウド環境で処理されます。顧客情報や機密性の高い資料を扱うなら、データの保存場所や取り扱いを公式情報で確認し、社内のセキュリティ基準に照らして判断する必要があります。
機密データを外に出したくない場合は、セルフホスト版を自社の環境に構築する方法があります。ただし、その場合はアクセス制御やアップデート、障害対応も自社の責任になるため、運用体制を先に決めておくことが大切です。
Difyで作ったアプリも、生成AIである以上、事実と異なる回答をすることがあります。ナレッジに登録した文書が古いと、誤った情報をもっともらしく答えてしまうこともあります。
業務で使う場合は、回答の根拠となる文書を表示する、定期的にナレッジを更新する、評価用の質問セットで品質を確認するといった仕組みを用意しておくと安心です。
Difyで試作したアプリが、PoCの段階で止まってしまうケースは少なくありません。原因の多くは、技術的な性能ではなく、現場の業務の流れや既存システムとの関係が十分に設計されていないことにあります。
実際に使う担当者の画面に結果がどう表示されるか、AIの回答を人が確認して修正する導線をどこに置くかによって、使われ方は大きく変わります。FAKEでは、デザインドリブン®のアプローチで現場に入り込み、業務システムのUI/UXとAIの処理を一体で設計するFDE型の支援を行っています。
Difyで作れる範囲を超えて、権限管理や既存システムとの深い連携が必要になった段階では、個別開発への移行も選択肢になります。外部の支援を受けながら導入を進める場合は、AI導入支援会社の選び方も参考にしてください。

Difyとは、生成AIアプリを構築・運用するためのオープンソースのプラットフォームです。画面上で部品を組み合わせるだけで、チャットボット、ワークフロー、RAG、AIエージェントといったアプリを作れ、WebアプリやAPIとして公開できます。
提供形態は、無料プランから始められるクラウド版と、自社環境で動かせるセルフホスト版があり、大規模な組織向けにはEnterprise版も用意されています。いずれの形態でも、接続するモデルの利用料は別途かかります。
業務で使う際は、ライセンスの追加条件、データの扱い、回答の品質管理、現場への定着の4点を押さえることが大切です。Difyは試作と検証を素早く回すための強力な道具であり、その先の本番運用まで見据えて設計することで、業務の成果につながります。
無料で使えます。クラウド版には無料のSandboxプランがあり、アプリ数やメッセージクレジットの上限の範囲内で機能を試せます。セルフホスト版のコミュニティ版もソフトウェア自体は無料ですが、サーバーの費用や接続するモデルの利用料は別途かかります。
クラウド版でチャットボットや簡単なワークフローを作る程度であれば、プログラミングの知識がなくても始められます。一方で、セルフホスト版の構築にはDockerやサーバーの知識が必要です。外部のAPIと連携したり、コードを実行するノードを使ったりする場合も、ある程度の技術的な理解があると作れる範囲が広がります。
商用利用は可能です。ただし、ライセンスには、明示的な許可なしにマルチテナントのサービスとして提供することや、画面上のロゴや著作権表示を削除することを制限する条件があります。自社のサービスに組み込んで顧客に提供する場合は、ライセンス文書を確認したうえで判断してください。
目的によって選び分けます。社内データを使ったチャットボットなど、生成AIを中心にしたアプリを作りたいならDifyが向いています。複数のSaaSをまたぐ定型作業の自動化が目的ならn8nが向いており、両者を組み合わせて使う方法もあります。
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株式会社FAKE
住所
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4 Portal Ebisu H1
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高橋 才将
設立
2020年1月
事業
DXコンサル、新規事業コンサル、システム開発、UIUXデザイン